白央篤司の独酌ときどき自炊日記Ⅱ

フードライター。郷土の食、栄養、暮らしと食をテーマに執筆しています。連絡先→hakuoatushi416@gmail.com 著書に『自炊力』『にっぽんのおにぎり』(理論社)、『ジャパめし。』(集英社)など。メシ通『栄養と料理』『ホットペッパー』などで執筆中。

名古屋へ 『大甚』『島正』『le supreme』新幹線のホームのきしめん

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名古屋に行ってきました。ああ、久しぶりの旅だ。

 

とある方のインタビューだったのですが、良いお話をたっぷりと聞けてうれしかった………。ずっとお会いしたい方だったんです。

どうぞお楽しみに。

 

 

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せっかくだし、と熱田神宮にお参り。ご神木もおやしろもなんとも見事で、実に清々しい気持ちになれましたよ。神気清冽、地元の方々のご信仰の深さもちょっと垣間見えて、いい時間になりました。 

 

 

 

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 終わってから、ひとり打ち上げ。

 

「名古屋に行くなら」といろんな方におすすめされた、中区栄の『大甚 本店』へ。ムードのある昔ながらの居酒屋さん、16時半ぐらいに入りましたが、もうかなり満席に近く。コロナ前は行列が当然だったと聞きます。

 

おつまみが小皿でたっぷり並んでるところから選ぶスタイル。牛スジ大根煮とアナゴの煮つけを選んで、生ビール。うまかーッ。ゆり根のゆでたのもおいしそうだったんだよな……。食べなかったこと、いまだに小さく後悔(笑)。気の利いたおつまみが多かった。

 

「またおつまみ選ばれに行くときは、マスク着用お願いします」

 

と、店員さん。承知しました。席間隔も空けて営業されているよう。以前はもっとみっちり詰めて入れてたんだろうな。名古屋の大通り沿い、時間が止まっているかのような、いい場所でした。また来たい。

 

 

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先のお店から歩いて2~3分かな、先輩ライターのOさんが教えてくれた『島正』へ。しましょう、と読みます。

 

どて焼き、いわゆる味噌おでんが名物のお店でした。色は濃いけど、食べてみるとね、やさしい味なんです。たまご、サトイモ、大根、コンニャク、豆腐の盛り合わせ。甘さとからさのバランスがほどよくて、お見事。豆味噌特有の渋みって煮込んでいくことで角が取れて、深い味わいになるんだよなあ………。

 

うーん……。煮込まれた八丁味噌の風味と芋焼酎ってのは、相性がいいもんですねえ。ひとり、しみじみ。

 

店の奥に往年の名優・島田正吾の書がありました。御園座が近いから、そういう縁かな? ご主人らしき人にうかがえば「常連さんだったんですよ」と。あれ。店名もそういうこと? 

 

なんでも昔は違う店名だったけれど、島田正吾がひいきにして暖簾を送ったことから「島正なじみの店」として有名になり、島正の店、島正の店と呼ばれることが定着してしまった。もういっそ店名をそうしてしまおう……という流れだったそうです。

 

しばしあって、ご主人がぽそりと「あなたも……役者さんなの?」と。島田正吾を知ってるなんて私の年齢ではめずらしいからそう訊かれたんでしょうね。

いえいえ、違いますよと否定しつつ、ちょっとなんとなく、嬉しい(笑)。気を良くして、芋焼酎お代わり。牛スジの味噌煮込みも追加だ。

 

名古屋の夜は味噌おでんと共にふけゆく。次はお燗かな。 

 

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 さて翌朝、帰りに名古屋駅高島屋地下をウロウロしていたら、とても気になるパン屋さんを発見。その名は『le supreme』、ケース内のどれもがうまそうなルックスでテンションがドーンと上がり、「ええい、ままよ!」と買い込んじゃいました。

 

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欧風の正統的なものから、ネギ味噌バゲット、エビカツサンドなど地ものアイディア商品までどれもうんまい………! つまみパンとして優秀すぎで、昼からワイン開けたくなっちゃいましたよ。

 

名古屋に行ったら、また必ず買います。今度は甘いのもトライしてみよう。

 

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最後に定番、新幹線のホームできしめんおかかたっぷり。

 

しかし人気ですねえ、運よくスッと入れましたが出るときには行列が。

 

名古屋の食文化というとテレビ的にというかエンタメ的にちょっとこう……「遊ばれすぎているな」という思いがあります。もっと地の部分、根の部分に最近とても興味がわいてきました。また近々来てみたいと思っています。