白央篤司の独酌ときどき自炊日記Ⅱ

フードライター。郷土の食、栄養、暮らしと食をテーマに執筆しています。連絡先→hakuoatushi416@gmail.com 著書に『自炊力』『にっぽんのおにぎり』(理論社)、『ジャパめし。』(集英社)など。メシ通『栄養と料理』『ホットペッパー』などで執筆中。

丹後ばらずしの作り方を今井亮さんに習ってきました

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料理家の今井亮さんに「丹後ばらずし」を習ってきました。

今井さんは、京都府京丹後市のご出身。京都府のいちばん北のほう、日本海に面してるエリアですね。こちらの郷土料理のひとつに「ばらずし」、というのがあるんです。

ざっくりいうと、ちらし寿司的なもの。 

 

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錦糸玉子 、紅ショウガ、煮含めたシイタケと、いわゆるちらし寿司ではおなじみのものが並ぶ中……

 

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 丹後地方のばらずしに欠かせないものがこれ、サバのおぼろ。おぼろ、とは身をほぐして炒り煮にしたものです。

 

京都駅コンコース内、またJR京都伊勢丹の地下に『とり松』というお店が入っていますが、ここは京丹後市網野町の料理店。ばらずしがお弁当で買えるんですよ。

以前に旅したとき試してみたら、これがおいしい。

 

『とり松』HP内 ばらずしの開設

torimatsu.jp

 

それから、向こうのかたにいろいろと聞いてみました。

「家でもよく作ります。サバおぼろは、専用の醤油煮缶を甘く味つけして作るんです」「ばらずし需要で、特大サイズの醤油煮缶がこの地方だけ特別に売られているんですよ」などなど教えてもらい、興味はつのるばかり。

 

今井さんが丹後出身と聞いて「ばらずし作りますか?」と尋ねたら「もちろん! 正月は絶対ですし、人が集まるときは必ずありましたね」と。

どうにも作り方を見せてもらいたくて、料理関係の友人知人数名をつのってお願いし、プチ教室を開いていただいた、というわけです。

 

 ちなみに「ばらずし」と「丹後ばらずし」、混在しちゃってますが「ばらずし」って岡山を代表する郷土料理でも同名であるんですね(内容はまた別物)。

なのでタイトルは「丹後ばらずし」として、分かりやすくしました。

 

さて、早速料理スタート。錦糸玉子づくりなど、おおかたの下ごしらえはカットして……

 

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寿司めしを「まつぶた」と呼ばれる木箱に詰めて、その上にサバおぼろ、煮含めたシイタケ、カンピョウを敷いてきます。今井流の寿司めしはけっこう甘め。

 

サバおぼろ、こちらでは醤油煮缶が手に入りにくいので、水煮缶を甘辛く炒めて作られていました。おぼろもしっかり甘めです。

 

おぼろの作り方を見られて嬉しかったなあ……復習します!

 

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おぼろ、シイタケ、カンピョウをのせたら、また寿司めしを敷いて二段にするんですね。このあたりは家によっても違うよう。ちなみに『とり松』さんも二段仕込み。

 

写真はまず寿司めし敷いて、おぼろやら載せて、さらに寿司めし、そしておぼろ類を載せた状態。2層になってるわけです。押しずし的にギュッとするのかと思いきや、普通に重ねていらっしゃいました。

 

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錦糸玉子にグリーンピース、カマボコ、紅ショウガを飾っていきます。

 

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完成!

やっぱり母や祖母の味ですね。久々に自分で作ってみたけど、家の味になるもんだなとちょっと驚きました(笑)。 

家の味を継がれているって、素敵なことだ。今井さん、勉強になりました。ありがとうございます。 

 

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「ばらずしだけじゃなんですから」と、今井さん特製シュウマイの作り方もレクチャーしてくださいましたよ。みんなで包んだのが上の写真、なかなか上手にできたかな?

 

さあ、試食タイム。さらに今井さんの手料理がどんどん出てきます。

 

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グリーンサラダ。

 

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バンバンジー。お手製のゴマダレ、すばらしかったな。芝麻醬から手づくりなのだとか。

 

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シュウマイも蒸しあがり! 新玉ねぎたっぷりの肉あん、なんとも爽やか。

 

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トマトと卵炒め。理想的な仕上がり、さすがです。私なんかだとかなりグズグズになってしまう……。

 

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「いい肉が手に入ったので」と焼いてくださいました。

 

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 お手製の干し肉と白菜のスープでシメ。豚干し肉、コクはありつつ重すぎない良いダシが出るものですねえ。こういうのあまり体験したことがなく、新鮮。

 

今井さん、いろいろとごちそうさまでした! ありがとうございました。

 

今井さん、 新刊が今日発売。買います。

 

 

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 あと、この本が私は好きなんです。料理はとにかく手軽で簡単がいい派におすすめ。手間のいらない楽でたのしい料理がいろいろと載っていますよ。