白央篤司の独酌ときどき自炊日記Ⅱ

フードライター。郷土の食、栄養、暮らしと食をテーマに執筆しています。連絡先→hakuoatushi416@gmail.com 著書に『自炊力』『にっぽんのおにぎり』(理論社)、『ジャパめし。』(集英社)など。メシ通『栄養と料理』『ホットペッパー』などで執筆中。

宮城県旅行記1日目、仙台の巻

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仙台に行ってきました。

今回は、ツレと一緒に観光旅行です。

 

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仙台駅の東口。

よくテレビなどに映るおなじみの光景は、反対側の出口になります。こちら東口から徒歩3分の東北福祉大学内にある、芹沢銈介(せりざわけいすけ)美術工芸館がまず最初の目的地。

 

www.tfu.ac.jp

 

芹沢銈介プロフィール

明治28年(1895)年静岡生まれ。昭和31年、型絵染で重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されました。昭和59年に88歳で亡くなるまで型絵染の道を一途に歩み、多くの作品を制作しました。その穏やかな色彩美と力強い造形は国内のみならず海外の人々をも魅了し、20世紀日本が生んだ代表的な芸術家と評価されています。

 芹沢銈介はまた美術工芸品のコレクターとしてもよく知られています。世界各国の民族が生活の中で用いていた品々を、独自の審美眼で精力的に収集しました。(美術工芸館HPより)

 

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「芹沢銈介」で画像検索すると、出てくる一覧。実にあざやかで、大胆で。卓上カレンダーでおなじみという人もいるでしょうね。

ちなみに沢村貞子さんの有名な献立手帳、あれらも毎年芹沢さんデザインの紙で表装されていたよう。

 

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たくさんの作品、スケッチ、型紙、そして製作風景をおさめたフィルムなどを拝見できました。テンション上がったなあ……楽しかった。うん、すごく楽しかったんだ。

構図、デフォルメ、その色彩と配色、豊麗なる曲線。なんとも大胆な芹沢世界。きものや帯地、のれんに屏風もそりゃ素晴らしいのですが、私は広告物であるマッチのデザインにものすごーく惹かれました。装丁なども含め、芹沢さんのこういう仕事がもっと観たい。

たくさん資料本あるんだろうな、探してみよう。

 

 さて、にぎやかな西口サイドに戻ります。ちなみに東口側って戦災を免れたことで都市化が遅れたのだそうですね。昔ながらの家々が多くて開発できなかった、ってことなのだろうか。私が住んでいた頃は野原もあって、河合塾なんかがポツンとあるというイメージでした。

 

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さて西口側です。ここらで変わらないのは、東北電力とプレイボウルのビル。ホッとするんですよー、この並び光景を目にするたび。

 

私は子どもの頃の8年間を仙台で過ごしました。正確には2〜3年ほどを泉市の南光台に住み(現在の泉区)、残りが仙台市の宮町というところです。仙台駅から歩いて15分ぐらいかな。

 

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エンドーチェーンの名称、残ってるんですね。昔は人気のデパート(というか大きなスーパーというか)でした。三田佳子とか芸能人もイベントでやってきたんですよ。

 

 

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街中のあちこちで写真を撮ってしまう。

 

懐かしいところあり、変わったところあり。上のNHKはいつできたんだろう、随分とまあ…立派だな。

 

知人に教えていただいた『ボタン』という新しくできたブックショップに寄ってみました。

 

 

私が小学校を過ごしたエリアはすっかりもう、個人店がほぼなくなってしまいました。小学校の目の前の文房具店、大きな家具屋さん、釣り具店、ケーキ屋さん、夏にはよく冷やし中華を出前してもらった町中華、その近くの一軒家のお蕎麦屋さん、床屋さん…。

 

昔のようなにぎわいが少しでも戻ってくれたら、うれしい。何かそのために、ちょっとでも手伝いができたらと、ずっと思っています。

 

 

『ボタン』で気になる小冊子を発見、いいもの手に入れたぞ。

 

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よくぞ晴れてくれました。歩くのにいい日だった。 

 

アンコール

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さて、お昼はこちらへ。

国分町2丁目、晩翠通り沿いにあるビストロ『アンコール』。仙台に住む知人がSNSでなんともおいしそうな感想をつけていて、心に残っていたんですよ。

 

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向こうに見えるのが入り口で、その脇には大きなストーブが赤々と。

 ストーブに迎えられるの、うれしいんだなあ。

 

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せっかくだしと、AとBのコースをそれぞれ頼みました。

 そして昼からでも充実のお酒メニュー、飲んべえにはうれしいですね。ちょうど親指で隠れてしまいましたが、ランチビールやランチのグラスワインが安いっ。さらにはランチ飲み放題プランがひとり1300円! 

酒好きが多く訪れるのかな、ここ。

 

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「まず胃をあたためて」という感じで出てきた、カリフラワーのスープ。食欲、呼び起されますなあ。やさしい甘さにコショウがぴりり。

 写真撮るの忘れちゃったけど、ツレと泡で乾杯しつつ。

 

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「レバームースにちょっとはちみつをつけて、パンにのせて召し上がってみてください」と店員さん。もうね、抜群だ。パンも自家製とのこと、おいしいんだけど……ここで食べ過ぎないようにしなくては(笑)。まだまだ後がありますからね。

 

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活〆スズキのカルパッチョ。赤いのはセミドライトマト…だったかな? ちょいと酸味がきいていいものですね、真似してみたい。

  

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忘れがたいのがアオリイカの温製サラダ!

イカスミとカニのソースが香ばしくて、なんとも深みがあって。厚みのあるイカ、ソテーの具合が実によくて柔らかい。白ワインとあわせて、なんともしあわせ。

ツレがぽろりと「これ……ひとりで全部食べたかった」ともらしましたよ。

 

 

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Aコースのメインはハンバーグをチョイス。香りのいいハンバーグだったなあ。添えられてる温野菜がまたうまいのですよ。

 

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グラスで楽しんだワイン2種。

 

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アイナメポワレ。きれいでしょう? 厚くて豊かな身つきにほれぼれ。魚のエキスと焦がしバターの風味を敷かれている菜の花がしっかり吸い取っています。ああ、もうこれだけでグラスが空いてしまう。。

いかん。

夜もあるのだ……自重しないと。

 

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最後はピスタチオと酒粕のアイスクリームで。ピスタチオの下にあるしっとりとしたチョコ地のなんとまあ濃厚だったことか(このチョコで、いつもなら食後酒をゆっくり楽しむところです……)。

 

ああ、おいしかった。。。

ごちそうさまでした。シェフは宮城出身、私が住んでいたのとわりに近いところのかたのよう。最後に少し話せてよかったです。開店から5年目を迎えられたんだったかな、これからもますますのご繁盛を。

また参ります。次は教えてもらったビストロ『ヒヒヒ』さんもハシゴしよう。

 

さて、腹ごなしにまた散歩しますか。

 

f:id:hakuoatsushi:20190308124310j:plain 定禅寺通り

ケヤキ並木にこれから若芽がめぶいて、杜の都を彩ります。

 

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先のビストロ近くにある『せんだいメディアテーク』の1階ショップに立ち寄り。

 

 

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牛タン入りの笹かまぼこ、でしょうかね。これも仙台らしい風景かな(笑)。 

 

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駅前に戻って、パルコ2内にある『東北スタンダードマーケット』へ。東北のプロダクツがギュッと集まっていましたよ。おみやげ探しにのぞくのもよさそう。

 

いろいろショップをおすすめしてくださった名取の三浦さん、ありがとうございました!

 

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kogensya.sakura.ne.jp

 

 日本のみならず、世界の民芸品を集めた『光源社』ものぞいてきました。歴史あるお店。こちらの開店記念マッチ、先の芹沢銈介がデザインされたと聞きますよ。

 旅したのは3月のはじめ、店内にはおひなさまの民芸人形があちこちに。

 

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 盛岡の本店にも行ってみたい。

 

さて、こちらの通りをはさんで向かいにある……

 

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 『necco』というショップにも立ち寄り。カフェもあるのですね。

 

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階段をのぼって、

 

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こちらが入り口。

 

 

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 なんとも気持ちのよい空間で、入るなりなんだか、寛ぎました。お店のかたに許可がいただけたので、店内を撮影。ちょうどお客さんがどなたもいなかったのです。

 

 

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ゆっくりお茶しつつ、本なんか読みたいね。店内では古本も販売されていました。

 

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沼田智也さんというかたのうつわが素敵だった。1つ求めてきましたよ。

 

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仙台の古いビルをリフォームして、素敵な空間が生まれている。とても嬉しくなりました。

 

また、おじゃまします。

neccodesignlabo.jp

 

 

 

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 近くにあって撮らずにはおれなかった珈琲ショップ。「あらかると」?

 

 

いな穂

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さあ、夕ごはんだ!

 仙台駅からすぐ、名掛丁センター街にある『いな穂』を予約しておりました。

 

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 お通しの三点盛り、メヒカリの揚げたの、ホタテのヒモや肝の煮つけ、エシャレット。いつもならこれでまず一合いくな、間違いなく。

お通し、お決まりなのかな。以前もホタテ以外はメヒカリとエシャレットだったような。まだこちらは2回目の来店なのですが、なんだか「いつものところに戻ってきた」かのような、うれしい再会。

 

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宮城・気仙沼のお酒、『水鳥記』をいただきつつ。なかなか関東だとお目にかかれない。

 

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アテはタラの白子ポン酢と、そしてやっぱり『いな穂』に来たからには……

 

 

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セリしゃぶを頼まなくては!!

 

こちらのセリしゃぶについては一度記事にもさせていただいたので、よかったら読んでみてください。

www.hotpepper.jp

 

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太くてりっぱな茎と根っこに、惚れ惚れ……。仙台市のおとなり、名取市三浦隆弘さんが丹精されたセリです。

ちなみに写真は二人前。

 

はい。 

実際にしゃぶしゃぶしてる写真、一枚もありません(笑)。夢中で食べてしまったんですよ。はじめて体験するツレにも大好評でした!

喜んでくれてよかった。

 

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日本酒が進む進む。

あとで見送ってくださってる写真が出てきますが、ホールスタッフのかたがまた気遣いの細やかなやさしい店員さんなんですよ。

 

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シメは雑炊に。

このおつゆがまたうまくてね、困っちゃうな。まだまだ回りたいので、ごはんは一人前にしていただきました。

 

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ご主人、ごちそうさまです。また必ず、今度はゆっくりと再訪いたします!

 

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どうもありがとうございました。

 

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2軒目は文化横丁『源氏』で。

酒好きのツレを一度連れていきたかったお店。 こちらも『いな穂』同様、相変わらずの大繁盛。運よくすぐに入れました。酒は『浦霞』、アテはカキの酒蒸し、どちらも宮城産。やっぱり最高の雰囲気だなあ……女将さんがお元気でうれしい。猫のオーケストラみたいな意匠の帯をされていた。

 

以前に『源氏』を訪ねた日の記録はこちら。店内・料理写真もあります。

hakuoatsushi.hatenablog.com

 

 そして、

 

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 壱弐参横丁(いろはよこちょう)に移動してフラフラして、気になったワインバー『バリカンテ』に入ってみました。

ワインメニューが豊富で、グラスであれこれ飲めるのがうれしい。宮城のワイン『ファットリア アルフィオーレ』のロゼ「ある晴れた日」をお願いしましたよ。実にやさしい味わい。スチューベンとネオマスカットなのか。

 

気さくないいシェフだったなあ。おひとりでやられているよう。続々お客さんも入って、人気のようでした。また来ます。

 

 

 

 

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さらにさらに。

一番町もツレに見せたいな、とフラフラ歩いていたら…ツイッターで気になっていた『二ホン酒とブドウ酒 マタタビ』が目の前に!

運命感じましたねえ……うれしかった。もちろん入店、サワーをいただきました。 

 ※正直に書きますが、何サワーだかもはや思い出せず…

 

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もう酔っぱらいもいいとこでしたが、「ああ……うまそうなものがたっぷりだ、次回は…次回は……」と強く思っていたことを覚えています。

 

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 うまく撮れなかったんですが、この炒めキャベツが挟まった『大人の玉子サンド』のおいしかったこと……! 店長のタカハシユウヤさん、ごちそうさまでした。今度は必ず一軒目に参ります。

 

 よく飲んで食べた一日でした。

明日は石巻へ行きますよ。