白央篤司の独酌ときどき自炊日記Ⅱ

フードライター。郷土の食、栄養、暮らしと食をテーマに執筆しています。連絡先→hakuoatushi416@gmail.com 著書に『自炊力』『にっぽんのおにぎり』(理論社)、『ジャパめし。』(集英社)など。メシ通『栄養と料理』『ホットペッパー』などで執筆中。

瀬戸内の旅・3日目 高松編 栗林公園とネコとうどん

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さて倉敷での仕事を終えて、私は香川県高松市に向かいました。

上の写真は、岡山駅高松駅を結ぶ快速「マリンライナー」からの一枚です。瀬戸大橋を通過中。

 

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なんとも見事なパノラマでした。こんな海の上を『瀬戸の花嫁』はポンポン船で嫁いでいったのでしょうかね。下を見るとちょいコワイ(高所恐怖症なんです、ハイ)。

 

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逆光じゃないほうは、こんな感じ。

瀬戸大橋、開通したのはなんとなく覚えてましたが、調べたら昭和63年4月10日のことなんですね。まだ29歳か。いや、平成の前なんだなあ…。そして新しい元号の話もちらほら聞こえる昨今。時は流れる。

 

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時間にして約1時間、高松駅に到着!

 

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炒ったそら豆を醤油漬けにした郷土名物「しょうゆ豆」の看板がホームに。市内ではおみやげ店などで数多く売られてますね。

もちろん、うどん屋さんもホームにありました。お約束だ。

 

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まずはホテルにチェックインして、荷物を置いて中心部へ。

さっそくスーパーがあったので見回ってみました。以下、感想メモ。

 

  • 讃岐風お好み焼」として、薄焼き+野菜+うどん(つまりは広島風の麵の部分がうどん)のものが売られていた
  • 総菜コーナーに南蛮漬けの種類が多い(スズキやタラなど。「魚の三杯酢」として販売)
  • 鶏肉コーナー、充実! きんかんが「玉ヒキ」、「せせり」が売られている
  • サワラはこちらでもニーズ高そう。刺身・切り身ともに充実。

  後でツイッターのフォロワーさんから教えていただきました。コメント引用。

鶏肉のせせりは香川県のスーパーではだいたいどこでもみかけます(^^)安くて美味しい。サワラは宇多津町では白子を味噌汁(白味噌)にしたり、真子を空豆と一緒に炊いたりしますよ!

「みやもん」さん、ありがとう! せせり、焼鳥店でよく出てくる首肉のことです。歯ごたえがキュッとしててうまいんだ。うらやましいな。

  • 名物「骨付鳥」用とおぼしき肉も販売

骨付鳥は香川県の名物のひとつで、もともと丸亀市発祥のよう。クリスマスになると売られるあの骨付きモモ肉がありますね。あれをコショウをきかせて焼いたものです。

  • いかなごの塩ゆでが売られていた。今年は不漁で出始めは高値でしたが、かなり落ちついたよう
  • トリ貝のボイルがたくさん売られている
  • ボラのフライ・ムニエル用切り身が200g280円
  • 葉付きの新ゴボウが販売中

いろいろ発見がありました。

食欲、刺激されたなあ…。まだ早いけど、飲みますか。

居酒屋『酒甫手』

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高松市鍛治屋町にある『酒甫手』(さかぼて)さん。

土曜は15時から開店。ネットを見ていて気になり、入ってみました。うかがったのは17時半ぐらい。まだ混んでおらず、カウンターの板さんの前を陣取れましたよ。ご夫婦かな、おふたりで営業されていました。

 

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 店名の由来がメニューに。達筆だなあ。

 

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四国産はもちろん、各地の日本酒がいろいろと。大好きな高知の『文佳人 リズ―ル』をいただきつつ、アテに選んだのは……

  

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「アスパラといかなごのバター焼き」(650円)です。この組み合わせ、いいですねえ。そら豆まで入ってるんですよ。彦摩呂さんなら「春のうららの三重奏や~」なんて仰るかな。

 

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さらに「地エビのから揚げ」(600円)を。

瀬戸内に来たら、やっぱり小魚や小エビで一杯やりたくなります。小さなエビにうまみがきっちり詰まって、なんともおいしい。ちなみに「かっぱえびせん」を生んだカルビーはもともと広島の会社、瀬戸内ならではのスナックですな。

 

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一人前の刺し盛(1,350円)があったのでお願いしました。手前の右が平貝で、サワラ、奥がカツオのたたきです。

 

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お魚も来たし、酒が足りませんね(実は…この間に『久礼』を一合やっています。笑)。おまかせでお願いしたら、こちらを出してくださいました。

滋賀県東近江市の酒『喜楽長』新酒生酒あらばしり。おお、めちゃくちゃ好み!

 

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カツオが特に美味。味に奥深さと複雑さがあって、忘れがたいです。

椎名誠さんがカツオの味に関して書かれてた文章を思い出すなあ。酒と肴のおいしさにひとり悦に入っていたら、ご主人が「ご旅行ですか」と話しかけてくれました。

いろいろお話するうち、おすすめのうどん店まで教えてくださって、感謝です。

せっかくですから、うどんも食べていってくださいね。明日の日曜にやってる中では、こことここがいいですよ。よかったら

ありがとうございます! この2軒のことは、のちほど。

さて、いい感じに酔いました。お勘定してお礼を述べて、再び高松のまちへ。

 

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酔い覚ましに、ぶらぶらとあてどなく。

高松の商店街はアーケード設備が充実してますね。このあたりは特にきれいでした。

土曜で人通りも多い。若い人が多いですね、行きたい店、気になる店を3軒ほど見つけました。メニュー採取したり、行き交う人々の話を聞いたり。

 

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高松の夕暮れ。

 

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心に残った名物「骨付鳥」の看板。そうそう、骨付鳥は高松駅の駅弁でもありました。

このあとホテルへ帰り、爆睡。

翌日23日、栗林公園

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さて、23日も朝から早起き。

名高い栗林公園(りつりんこうえん)を目指しましたよ。なんとこの時期は5時30分から開園! 私のような朝型旅行者にはありがたいこっちゃ。

道すがらに出会った高松のネコ、その1。「にゃーご」と声をかけてふり返った瞬間の表情です。いい顔してやがるぜ。

このあともネコ2匹ほど、登場します。

 

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中央通りにあった百十四銀行のビル、朝日に映えてなんともカッコいい。ツイッターに上げたら、

庵治にアトリエを構える流政之さんの作品ですね。高松はゆかりのある現代芸術家が多くて、何やら面白いオブジェや建築が多いです

と教えていただきました。「まるつ」さん、ありがとう!

1966年建築、緑青(ろくしょう)のブロンズ板で覆われているそうです。

この中央通り、樫の木が真ん中にずっと並んで、風情があったなあ。「樹液がタクシーさん泣かせなんですよ」なんて情報もツイッターよりいただきました。

 

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到着! 

まだ6時過ぎぐらいですが、もう日が強かったですねえ。この栗林(りつりん)公園、国の特別名勝に指定されている文化財庭園で、最大の広さだそうです。

 

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県の公式サイトによると、高松藩松平家の別邸として、歴代藩主が修築を重ね300年近く前に完成しました。緑深い紫雲山を背景に6つの池と13の築山を巧みに配し(た)、江戸初期の回遊式庭園」で、東京ドーム3.5個分の広さ。一千本の松があるとのこと。

しばし、園内散歩。「きれいだー」とか、ひとり言かなり発しながら歩いてました。

 

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 天はもみじの黄みどり、地は苔の若みどり。

 

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芭蕉じゃないですが、まさにどこもかしこも「青葉若葉の日の光」という感じ。

 

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日本庭園は影絵の美ですね。

園内にはサギが飛び、ウグイスが鳴き、咲きたての白藤が美しかったです。かつての藩主を楽しませたという人口の滝もありました。そのそばには蓮池も。咲いたらさぞかし見事だろうなあ。梅の木はもう小さな実をつけて、隣には茶園までありましたよ。

 

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大満足して帰ろうとしたら、こんなものが。

足元を見れば、砂ぼこりで確かに汚れまくってます(笑)。はたき、すごく役立ちました。みなさんも訪れたらお忘れなく。

 

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帰り道、商店街で見つけた鉢植えのライラック。いい香りなんです。もし見かけたら、嗅いでみてください。

 

 器&zakka sara 

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とにかく旅の間はふらふら歩き回ってるんですが、昨夜腹ごなしに散歩してたときに見つけたお店がこちら。とっくに営業時間外でしたが、ウィンドウから見えるうつわがすごーーく好みだったんですよ。

表にあったショップカードには日曜も営業とのこと。やった! 開店の10時を待って、行ってきました。

 

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女性のご店主に許可をいただき、店内を撮らせていただきました。ああ…やっぱり好みのものがいっぱいだ。嬉しいけど…困ってしまうね。

(^-^;

どれを買おうか迷っていると、意外なお客さんがみえました。

 

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うちね、ノラが通るんですよ(笑)。ネコ大丈夫ですか?

大丈夫どころか、ネコ好きです。うれしい闖入者でした。

ヽ(^o^)丿

この子はね、さわらせてくれないシャイな子なんです。あ、行っちゃった。あら、もう別の子が来ましたよ。この子は人懐っこいんです。

えっ、また別の子が? ふり返ってみると……

 

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さっきの子も、この子もいい顔してますねえ。

 

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ライトの感じで毛色が変わって見えますが、2匹目の子です。ズームじゃなくて、レンズの目の前にいるんですよ。この後、足元にすり寄ってきてくれました。

ははは、オッサンもうメロメロです。旅づかれ、飛ぶわー。

昨夜に心ひかれた筑前・小石原焼の四寸皿を2枚と、やちむんの中鉢を購入。よい旅の思い出ができました。しかもネコの思い出まで。

saraさん、また訪ねたいです。ご主人の女性がとても気持ちのいいかたでした。

お店のブログを貼っておきますね。


※2017年10月で実店舗は閉店されたそうです

 

 

昼はそりゃあ、うどんです

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昨夜『酒甫手』のご主人に教えてもらったうどん屋さんでお昼にしました。

まず1軒目、『さぬきうどん 一福』さんから。

 

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かけうどん(200円)。

うまいよう。

体がこういう「だし」を求めてました。いい塩梅だなあ……。隣の席では、うちの母親ぐらいのおばちゃんが「ざる2玉」をおにぎり付きで豪快にいってました。私はいま高松にいる…。周りの人もみんな、うまそうに食べますねえ。なんか嬉しくなっちゃうな。

さあ、落ち着いてると2杯目が入らない。次に行きます。

 

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お次は『たも屋』さんの支店のひとつ、「女道場」へ。

ここは女性スタッフのみのお店なので、この名前になったそう。高松商店街、南新町アーケード内にあります。さっきの『一福』さんから徒歩30秒ぐらいのところ。

 

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ぶっかけうどん(310円)。

うまいいいい。

「かけ比較するんだ」と心に決めて入店したのに、あっさりぶっかけの魅惑に負けてしまいました。麺の食感の良さに心とろけまっくったので、良しとします。

 

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あ、セルフトッピングしてこんな感じでいただきました。

こっちの天かすはうまいなあ…。西日本では天かすの登場頻度、高いですよね。

 

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こんなサービスも。

腹はちきれるぐらい無理しちゃう子、いるんでしょうね。

 

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店頭ではちょうど、うどんをのしていました。とっても愛想のいいお姉さんで、いろいろお話してくださいました。ありがとうございます。質問多くて、すみません。

 ※ブログ内の写真はすべて許可を得ています

一路、松山へ

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さあ、腹も満たされたところで次の目的地に向かいます。

今度は愛媛県・松山に寄っていきますよ。写真は高松の地元スーパーで見つけた、郷土料理「まんばのけんちゃんの惣菜パック。車中のつまみにします。

これ、高菜と豆腐のくずし炒め煮なんですが、高菜のある時期は惣菜としても出回るんですね。拙著『にっぽんのおかず』でもこの料理をとりあげていますので、よかったら読んでみてください。m(__)m

高菜、コンビニにも売られていてビックリ。

 

蛇足ですが、私は駅弁が苦手なんですねえ。旅では、できるかぎり地元の惣菜店やらであれこれ買いこみ、電車めしとします。そのほうが地元ならではの味わいを感じられるし。駅弁って「コンセプトを食べてる感じ」がちょっとつらい。

それはともかく、明日は松山の記録を。