白央篤司の独酌ときどき自炊日記Ⅱ

フードライター。郷土の食、栄養、暮らしと食をテーマに執筆しています。連絡先→hakuoatushi416@gmail.com 著書に『自炊力』『にっぽんのおにぎり』(理論社)、『ジャパめし。』(集英社)など。メシ通『栄養と料理』『ホットペッパー』などで執筆中。

ぜんまいの思い出、そして京都の湯葉。

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ぜんまいを戻していました。

仙台で買ってきた、山形産のぜんまい。国産はいまや貴重品、東京で求めると高いですねえ。

半日ほど水に浸けておき、たっぷりの水で沸かさない程度に煮て、水にさらして揉む。これを3~4回繰り返します。

 

大好物なんですよ、ぜんまい。

 

うちの母は新潟の山のほうの出。農家だったんですが、早春には庭いっぱいにゴザをひいて、ぜんまいを干すんです。

その側には、桜の杖を持った祖母が座っていつも日向ぼっこ。小さい頃は「どうしてずっと、長いことただ座っていられるんだろう。退屈しないのかな」なんて思っていましたが、雪深い地域での長い冬が明け、ようやく拝んだ太陽は祖母にとって格別のものだったのかもしれません。

祖母が亡くなって、もう30年以上が経ちます。ぜんまいやこごみを採っていた叔母も、先年亡くなってしまいました。採り手の減った山は、いまどうなっているのだろう。

 

ぜんまいを戻して、ふと思い出すあの頃。

 

今は昔。

 

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さて、そのぜんまいはナムルに。

ジョン・キョンファさんのレシピでやってみたらこれがおいしい。鶏そぼろは余りがちなスイートチリソースと胡椒で炒めて、こないだ仕込んだキムチ、チンゲン菜のナムルでビビンバ風の昼ごはん。

ワカメスープも作りました。私は煮干しと昆布のだしを濃いめにひき、ニンニクスライスを入れてしばし煮て、ゴマ油とコショウで仕上げます。減塩レシピ。

 

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ものほしそうに眺める猫。

 

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以前はテーブルにのるたび叱っていたんですが、

 

 

あきらめました。

 

エンドレス。

 

うちのグジュ、表情からも見てとれますがえらい食い意地が張っています。誰に似たんだか。

 

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さて、ツイッターを通して知り合った京都の『花重』@hanajyu8)さんから、橙(だいだい)をいただきました。

ポン酢を仕込みましたよ。1週間ほど寝かせます。

そして。

 

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同封してくださったのが湯葉半』の生湯葉

 

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「つまみ上げ湯葉」というもので、固まる直前の半とろりとした状態なんです。

なんと淡くて、深い味…!

塩、ワサビ醤油で楽しみました。『湯葉半』は川端康成の『古都』にも登場するそうです。知らなかったな、読んでみよう。

『花重』ご主人の岡田さん、本当にありがとうございます。

 

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それでは、また。