富山県西部の魚津(うおづ)市にやってきました。
北陸新幹線で富山駅まで行き、そこから「あいの風とやま鉄道」に乗り換えて22分ほど。うちからだとさほど遠くもなく。
改札を出て、隣にあったポストです。
駅ポストって、何かしらその土地と象徴するものが飾られてたりするんですよ。これはなんだろう…と思って調べてみたら、地元の「たてもん祭り」でお目見えする万燈なのだとか。
市のフリー素材にもありました、8月のはじめに行われる夏祭りのようです。きれいですね。勇壮なまつりなのかな。。。
改札を出てすぐの風景。
晴れていたら先に立山連峰が見えるんですが、残念この日は雨でした。でも1月末の北陸行、大雪じゃないだけラッキーなのだ。 歩き回れるしね!
「朝ちょろちょろ降ったりするんだけど、今年は積もらないねえ」と地元のかた。
駅改札を出て右手すぐにある酒屋さん『エスポアおおさき』、品ぞろえがよくてびっくり。ツイッターでおなじみコンヒーロさん(@congiro)から「いい酒屋さんですよ」と教えていただいてたのです。のぞけてよかった、ありがとうございます。
ジェラール・シューレールが置いてあって、うち用にいきなり買って送りそうになってしまいました。
まず駅近くに取ったホテルに荷物を置き、さっそく地元スーパー探訪。こちら「サンプラザ」1階に入っている大阪屋さんに行ってきました。
- かまぼこ、おでん種の充実
- すだれ麩、ちくわぶがある。それぞれ金沢、関東メインのもの
- ニギス、ゲンゲ、バイ貝、やっぱりありますね
- カワハギが「ケンケラ」と呼ばれている
- どんどん焼きがある!(それは大阪屋のとなりの惣菜店にて)
- サバ麹漬けが売られている
- アカモクが「ナガラモ」として売られている。新潟もこう?
- 昆布じめがあるのは当然として、昆布巻きも販売スペース広いなあ
などと感想を書いてたらキリがないのですが、
こちら。
「おしゃかの団子」って知らなかった…! 撮らせてもらいました。米粉団子に色をつけたもので、お客さんや店員さんに話を聞けば「まあ、おやつというか軽食というか」「ストーブの上に網やアルミのっけて転がして焼いて食べるんですよ」「私はレンジでチンする」「2月のお祭りで撒くのよ」などなど、いろいろ教えていただきました。
県内では「涅槃団子」という名前でも知られているよう。
記事内でもありますが、この団子を編んだり折ったりした何かしらのものに入れて、ランドセルにつけて子供のお守りにする、というもの。
次に訪れたお店で、実際それを目にすることができたんです!
ハマオカ海の幸
それがこちら『ハマオカ海の幸』さん。すぐ目の前が富山湾なんですよ。創業60年超えの干物、魚介類加工品専門のお店です。
メインの入り口。
三姉妹でやられているお店で、そのうちのおひとり、専務の浜岡愛子さん。はじめまして!
店内に入ってみれば、縄がたくさん吊るされています。これは…
実際にブリやシャケを吊るして、ここで干すんですねえ…!
ブリは富山を代表する魚。地元の人々は長いこと、ブリを塩して寒風にさらし、保存食としてきました。そしてそれらはブリ街道を通って、遠く信州まで運ばれていった…という歴史があります。
だからね、こっちの人たちはそのまま刺身、煮るか焼くかとシンプルに食べますが、信州の方々は塩したブリをもう様々に調理して食べますよ。酒粕で煮たりとかね。こちらが教えてもらうほどです。
と浜岡さん。
また、「海と山は友達だ!」をスローガンに、富山湾の豊富な水産資源を大切にするためには山を整えていかなければならないこと、そして実際の取り組みなど、いろいろなお話を聞かせていただきました。
近年よく聞かれるようになってきたマイクロチップ汚染問題に関しても、ハマオカさんは早速取り組まれていましたよ。
オリジナルパッケージの商品の数々、シャレてるなあ…! 手前の3種は昆布巻き。プリントされた魚のデザインなどもご自身たちで考案されているのだそう。
そうそう、先ほどの「おしゃかの団子」を入れてランドセルにつけるというのが、これ。かわいいものですね。
団子は米粉をかためてよく乾燥させてあるので、腐らないのだそうな。
各地のお守りと食文化というのも結構クロスしてそうですな、柊にイワシなんてその代表格だろうか。豆やらは破邪によく使われますしね。桃を投げたのはイザナギだったか。この辺は吉野りり花さんと今度話し合ってみたい。
富山ではおなじみ、昆布じめ用の平たい昆布も見せてくださいました。
でもね、やっぱり地元でも昔ほど昆布じめをみんなやらなくなってますよ。地元のお魚を使った料理もね。だから私たちがどうやって料理するのか伝えていきたい。自分たちって昔と現代のちょうど間にいる世代だと思うんです。今の人に伝えるならより現代的な応用レシピを考えて発信するとかね。もっと、積極的にやっていかないと。
港町でもやっぱり、そうですか。日本各地で魚おかずは本当に作られなくなってきている。回転寿し以外ではなかなかお魚食べない、という人も増えています。
でもね、ハマオカ姉妹のお話ぶりは終始とっても明るく、エネルギッシュでした。その勢いに嬉しくなったのもあり……
ドーンあれこれ、衝動買い(笑)。富山人の好物のひとつ、バイ貝を使った炊き込みセットがなんともうまそうでね、2つ買ってみました。
旅を終えて帰宅して、作ったものがこちら。米にうま味がしみてなんともおいしい…。ニンジンやゴボウを一緒に炊き込んでもおいしいと裏書にありました、今度はそれでやってみます。
ハマオカさん、お世話になりました。
お店を出てすぐ前がこの景色。雨模様だったけど海はさほど荒れておらず、海鳥がゆきつ戻りつ。彼女たちはずっとこの潮風をあびて生きてきたんだな。
寿司栄
さて、今晩のごはんはこちら寿司栄(すしえい)さんへ。魚津で最も古いお寿司屋さんで、富山市内にある同名店の暖簾分けとのこと。
カワハギと肝にいきなり迎えられました。
なんと素晴らしき急襲かな。
もうとっくに帰宅してブログを書いているわけですが、「また食べたいな…」と舌に心に不意に浮かんでくる。白身に肝を自分の好みにつけて口へ運ぶとね、もうね。
思い出し笑い。
次にバイ貝。
いちいち書きませんがどれもまあ、おいしかったんです。本当に。
カジキにキスの昆布じめ、ちょっと写っているのはマグロの赤身。
このほかブリにトロに。
メバルの焼いたの。
モノの良さはもちろん、なんと見事な焼き具合だったことか。言葉少なにむしゃぶるばかり冬の夜。
そしてこのカニミソ、アンフォゲッタブル……。大好物なんですよ。抜群だった。すばらしかった。香りが濃くて味が深くて、それでいて重たくなくて。
いつくしんでいただきました。もちろん燗酒を流し込みつつ、ね。ご主人のお手製です。そのご主人がこちら。
岡本茂雄さんは元漁師で大の野球好き。店内にはお孫さんの写真なども飾られていました。この優しい笑顔!
最後にリクエストしたのが、甘エビです。
ああもう、言うことなし。
今回魚津を案内してくださったのが、魚津漁協のセリ人である濵夛一徳(はまだいっとく)さん。ツイッターを通じて知り合い、以来富山のあれこれを教わっています。
魚津漁協の正面入り口、後ろはすぐに富山湾。
その目の前に今月オープン予定の漁協食堂。中を見せてもらいましたが、きれいで広々としていて。隣には宿泊施設も建設中でした。食堂メニューは研究中とのこと。僭越ながら私も少々意見など聞かれたのでお答えしました。さてどうなりますか、楽しみです。友人連、オープンしたら誰か一緒に行きませんか?
港町ですが、漁師のなり手はいま減っているんです。企業勤めが多くなって。仕方ない部分もあるけど、地元の産業、そして魚津の食文化をしっかりと残していきたい。先のハマオカさんも含めて、味噌とか練り物とか綿花とか、地元の産業が連携して、横のつながりを大事にしつつ発信していきたいと思っています。
と濵夛さん。
いろんなお話をうかがいつつ、夜が更けていきました。濵夛さんが写真がまたすごく上手でね、表現者レベルだと私は思っています。
魚津の素敵な写真をフェイスブックで発信されているので、ご興味のあるかたはぜひご覧ください。
ごちそうさまでした。
一徳さん、本当にお世話になりました。今度東京来たら案内させてください!
【寿司栄】
0765-22-5839
駅前のスペインバル『テンプラ』
さてもうちょっと飲みたくて、ふらり入ってみたこちらの店。
窓の向こうに見えるのは魚津駅の夜の様子。そう、駅出てすぐの2階なんです。
お通しとして出してくれたクラムチャウダー、絶妙に…うまかった! これも魚津の忘れられない一品。スペインバルのようでしたが、おいてある酒はいろいろ。白ワインの他に、地元の日本酒『勝駒』などもいただきました。
女性がひとりでやられているよう。
またあのチャウダーを飲みに、行きたい。
帰りにコンビニで水を買おうとしたら、昆布入りのお餅が。レジのところにはまた別の昆布製品も並んでいて、ああ富山に私はいまいるんだよな…と思うなど。
明日は富山市に移動します。