白央篤司の独酌ときどき自炊日記Ⅱ

フードライター。郷土の食、栄養、暮らしと食をテーマに執筆しています。連絡先→hakuoatushi416@gmail.com 著書に『自炊力』『にっぽんのおにぎり』(理論社)、『ジャパめし。』(集英社)など。メシ通『栄養と料理』『ホットペッパー』などで執筆中。

ごくごく私的な、仙台スナップ2

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さあ、講演当日。

起きれば雨は降っておらず、ひと安心。5時台に目が覚めてしまいました。やっぱり緊張してるんですかね。

せっかくだし、昔住んでいたあたりを散歩しようかな。

 

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仙台さくら野の突然の報には胸を痛めました。

早く、何か別の営業形態がスタートしてほしい…。

 

宮町へ

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私が通っていた小学校です。

変わらないなあ。

 

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校庭にある桜の巨木。

ここまでちょっと贅沢をしてタクシーを利用。行き先を告げれば60代とおぼしき運転手さんが「あそこ、古い桜の木がありますね。春はきれいですよ」と言われた。

うれしかったな。

周辺の、思い出のある個人商店はみな無くなったけれど、学校と桜だけが変わらない。

 

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いや、みんな無くなったわけではなかった。

この床屋さんは昔からある。「バンブー=竹」だなんて知らなかったあの頃。ここはブラスバンド部のコーキ先輩の家だった。みなさん、お元気だろうか。

 

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小学生の頃、よく遊んだ公園。

何ひとつ変わっていないことがすごくうれしい。

 

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プラタナスの木もそのままだ。

秋は大きな葉が降ってくるんだよな。

変わっていないこと、変わらないことのうれしさ。尊さ。 

 

しかしやっぱり、変わってしまったもの、無くなってしまったものは多かった。

 

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がらんとした空き店舗。無くなってどのくらい経つのだろう。

先の公園からすぐのところにあるこの『サカエ』に、髪を切りに来ていた。小学3年生ぐらいの頃。おじさんとおばさん、多分ご夫婦の二人でやられていた。

切り終わると、ビックリマンチョコが1つもらえる。子ども客だけのサービス。それが楽しみで、毎月「髪、早く伸びないかな」と思っていた。のちにビックリマンチョコが大流行になってしまい、おじさんが「もう手に入らなくなっちゃったよ」と困ったように笑われたのを覚えている。

おふたりは元気だろうか。元気であってほしい。

がらんとした空き店舗の前から、しばらく動けなかった。

 

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先の床屋さんから歩いて5ぐらい。

この奥の、左側に住んでいたんだ。

まだ道は舗装されていなかった。大きな大きな梅の木があったのに、切っちゃったんだなあ。梅雨前にはたくさん実がなって、熟して落ちるといい香りが漂ったものだった。ウドの木も生えていたのに、ミョウガも生えていたのに、すべて舗装されてしまった。

土地の持ち主でもないから、余計なお世話なんだが。

舗装された道々の下には、いろんな根っこが眠っているんだな。

 

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『ホテル白萩』が健在でうれしい。

何度か、ここのレストランに母が連れてきてくれた。あの日はなんでまたぜいたくに外食なんかしたのだろう。生まれてはじめてビーフシチューなるものを食べたのはここ。

具の小さな玉ネギの名前が「ペコロス」というのが、なんともカッコよく思えた。

この向かいに住んでた同級生のツダさん、元気かな。利発な人だった。

 その家もすでになかった。

 

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一番仲のよかったケンが住んでいた、某会社の社宅。

使用されておらず、クローズされていた。もったいないなあ…せめて転用できないものか。

ケン、高校時代に一度再会したっきりだな。元気でいろよ。

 

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一番交流のあったご近所さん、ノジリさんちは跡形もなかった。

 

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近所にあったスーパー、昔はエンドーチェーンという名前だった。

地名も昔は旅籠町(はたごちょう)だったような。そんなことをツイッターにあげたら、「かつては遊郭だったエリアだそうですよ」と教えてくださったかたが。知らなかったなあ。

24時間営業だし、せっかくなので入ってみた。鮮魚コーナーにホヤがない。あまり食べられなくなってきてるのかな…と店員さんにたずねれば「お昼前ぐらいには届くと思います」とのこと。

そうだよね、まだまだ早朝。品出しで忙しい時間に、すみません。

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空き段ボールの中に宮城らしさ。

  

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名物、ミロのヴィーナス風建造物。

右側の歩行者さんと比べてみてください。そう、デカいんですよこれ。バブル時代にいきなりできました。震災にも耐えたんだねえ、ヴィーナス。花京院というエリアにあります。台座のところには「The Goddess of Succes」と。成功の女神か。

 

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帰りがけに見つけた、飲食店のメニュー。

そう、亘理(わたり)はイチゴが名物。地産地消が進んでいるのなら嬉しい。

歩き回って腹も減ったな…ホテルに戻って朝食としますか。

 

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ビュッフェには東北がいっぱい。

味噌汁はもちろん、仙台味噌山形だし(ナスやミョウガなどの夏野菜を細かく刻んでだし醤油などで和えたもの)に山形のおみ漬け秋田の納豆三陸サンマの煮つけ、仙台油麩の玉子とじなど。お米は宮城産ひとめぼれ

おいしくて、食べ過ぎてしまった…。汁椀とごはんの位置が逆なのはお許しを。ちなみにこちらのホテルです→メトロポリタンホテル仙台  

 

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ひとくちずんだ餅もありました。笹かまもあり、名物は網羅、という感じ。「シソ巻き」もぜひ置いてほしいな…なんて思いつつ、そんなにおかずがあっても食べきれないか。

 

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山形だしは納豆と混ぜてもうまいよ。

 

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ホテルの窓より。

仙台駅のすぐ隣なんです。太陽が勢いよく照り出して、昨日の大雨が嘘のよう。

 

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新聞社さんの車で、名取方面へ。

空は青く、田はみどりに。

長くなりました。仕事の報告は、明日別につけるとしますね。

 

駅前の居酒屋『勘助』

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今回の出張中、行ってみたかった『勘助』へ。

日本酒関係の仕事をしているNさんご推薦の店で、仙台駅から徒歩2分ぐらい。

 

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宮城のはもちろん、東北の酒があれこれ飲めます。

 

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石巻の美酒『墨廼江』(すみのえ)をやりつつ…

 

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ホヤの刺身をいただきました。

このホヤがなんとも香りよく、うまかった……! 6月に仙台に来てホヤを食べずには帰れません。ホヤ、年々好きになるなあ。

駅からホントすぐなので、日帰り出張のかた(で酒好きのかた)にこちらのお店、おすすめです。

 

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笑顔がなんとも素敵なお姉さんについでいただきました。また来ますね!

 

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郷心がついたわけではないのですが、今回来て「ああ、戻ってきたいなあ。住みたいな」と思いましたね。

暑さ本番前の、緑の仙台は本当にきれいなんですよ。広瀬川の風景、お見せしたかった。

そして自分が育ったあたりの個人商店の消滅っぷりを思うと、なんとかまた盛り立て直したい、その一助になりたい…とも強く思ったり。

クラフト系のショップやら、もっと区画的に集めて賃貸優遇制度なんてつくれないものか…などなど、考え込んでしまいました。

もっとそういう仕事に関われるように、がんばります。