白央篤司の独酌ときどき自炊日記Ⅱ

フードライター。郷土の食、栄養、暮らしと食をテーマに執筆しています。連絡先→hakuoatushi416@gmail.com 著書に『自炊力』『にっぽんのおにぎり』(理論社)、『ジャパめし。』(集英社)など。メシ通『栄養と料理』『ホットペッパー』などで執筆中。

長野県松本市へ ~講演の旅 &『ちいさいおうち』

 

三連休の最終日、長野県へ行ってきました。

 

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長野県書店組合様のご厚意により、長野県絵本大賞の記念式に講演者として呼んでいただきました。ありがたいことですね。目指すは松本市のキッセイ文化ホール。朝の7時に北陸新幹線「かがやき」に乗って、まずは長野駅へ。

 

 

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早いなあ、大宮~長野間が約50分! ここで名古屋行きの「しなの」に乗り換えです。発車まで15分ほどあるので、ちょっと売店などウロウロ。

 

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やっぱりありますねー、こういうの。地域限定スナック、けっこう好きです。

 

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ホームに行けば「しなの」号がもう来ていました。

 

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朝日を浴びて、なんともいい風情のお蕎麦屋さん。ひとついただきましょうか。

 

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あったまるなあ…!

ホームで蕎麦を食べたくて、朝食を抜いてきました。この蕎麦、車内にも持ち込めるようになっていて専用容器で別売りされていました。なつかしいな、こういうの。

この時期の「しなの」号、車窓からの眺めが格別でした。刈り取られた稲が田に並び、所々にススキは繁り、たわわに実をつけた柿の木、リンゴの木があちこちに。空がとても高い。里の秋です。

 

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でも、哀しくなるほど写真がうまく撮れませんでした…(´;ω;`)

 

 

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さて、松本駅へ到着!

講演関係のかたとの待ち合わせは約1時間後、スーパーマーケットをのぞきたくて、早くやってきましたよ。駅そばに大型スーパーがあるのは調べずみ。食料品売り場を目指します。

 

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コロッケなどが並ぶ惣菜コーナーに、鯉のうま煮が! 店員さんにお願いして、撮らせてもらいました。長野の鯉食文化は佐久平が有名ですが、松本でも食べられていますね。このほか、

 

  • 鯉の刺身(洗い)、切り身、昆布巻きが売られている
  • 酒粕がたくさん売られている
  • 味噌のラインナップはやっぱり充実
  • 塩引き鮭、名物の塩イカも
  • イワナ、アユ、イナゴの甘露煮もラインナップに健在
  • 筑摩あげ
  • やっぱり地粉は充実、おやきミックスも
  • もちろん馬刺しも
  • 信州サーモンも定番になっている
  • やっぱりブドウが良質、安い。そして各種ミックス売りもされている
  • 蕎麦の乾麺コーナーにくるみが置かれている

 

 以上のことを確認できました。

 

 

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まだ時間があったので、駅前の中島酒店へ。先に自分用おみやげを買っちゃおう。ここ、地酒と長野ワインの品揃えがすばらしいのですよ。

 

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長野は小県郡青木村のワイナリー『ファンキーシャトー』の赤とロゼ、そして完全にジャケ買いをした日本酒2本ほど自宅に送りました。日本ワインに詳しいライターの久保木薫さんに以前、ファンキーシャトーを飲ませてもらって実においしかったのです。開けるのが楽しみだ。

 

さて、今回の講演では松本の児童書専門店『ちいさいおうち』のオーナー、越高令子さんご夫妻に大変お世話になりました。温かいアテンドに心より感謝いたします。11時20分に駅で待ち合わせて「まずは腹ごしらえ」と、おすすめのお店に連れていってくださいましたよ。

 

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中華料理店『麗山』へ。松本の人々に長らく愛されているお店とのこと。

 

 

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店内、雰囲気があって素敵なんですよー。この後どんどんお客さんがみえて、アッという間に満席になりました。

 

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越高さんが「松本に来たならば、ぜひ!」とおっしゃった五目焼きそば。とてもおいしい。麗山特製の細切り麺、揚げ焼きされているんですが、これが香ばしい。クセになるというか帰宅していま…すでにまた食べたいです(笑)。ファンが多いというのも納得!

 

さて、そろそろ講演の時間です。キッセイ文化ホールの第2会議室でお話をしてきました。タイトルは「各地のおにぎりやおやつから見えてくる、日本の食風景」、約40人ほどのかたが集まってくださいました。

 

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まずは自己紹介、食のライターという仕事がどういうものかをお話しました。

そして『にっぽんのおにぎり』がどのようにして生まれたか。

私は転勤族の子どもで、引っ越しを何度も経験しました。主に東北で育った私にはおなじみの「すじこのおにぎり」、これが関東や西日本ではあまり知られていないことを知ったときの驚き。今でこそコンビニ普及で知名度も上がりましたが、昔はまだまだ知られていなかった。そして以前、関西に暮らしたときに知ったお好み焼きの登場頻度の高さ…幼い頃に体験した「食のカルチャーショック」が積もり積もって、私は食の地域差に興味を持っていきました。

 

さて、おにぎりの話。海が近い地域のおにぎりの具、山や川が近い地域の具。これでまず地域食の個性が出ます。

次に、それら特産物を日本人がいかにして保存してきたか。この結果が、おにぎりの具になっています。佃煮、乾物、塩漬け…日本人が腐敗と闘ってきた歴史が、おにぎりの中に詰まっていると私は思っています。

そして、イモ類や穀類の混ぜごはん。今でこそ料理のひとつですが、昔は「かさ増し」でした。どこの地域でもやられていたことです。その「あまり飯」をおにぎりにした日もあったことでしょう。

白むすびはシンプルなおにぎりの極致ですが、昔はハレの食であり、それがケとなれば豊かな人々のものでした。混ぜごはんのおにぎりを見ると私は、「白めし食べたいなあ」という過去の日本人のつぶやきが聞こえてくるような気がします。

 

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無事に、約1時間の講演が終わりました。顔がホッとして、ゆるんでますね。

迎えてくださったみなさんがとても温かくて、リラックスして話すことができました。その後のサイン会でも17人のかたが並んでくださいました。うれしかったです。本当に、ありがとうございました。

 

 

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やっぱり緊張していたんですねえ。先ほども通った景色なのに、終わってから見るとその美しさにあらためて気づきました。ホテルの近くを流れている女鳥羽川、せせらぎが穏やかで、なんともよい風情でしたよ。

 

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さて、世話人をつとめてくださった越高さんの児童書専門店『ちいさいおうち』へ。

 

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こちらがお店の正面入り口。1980年から続くお店です。

 

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日本、そして世界各国の児童書がセレクトされているのはもとより、グリーティング・カードやおもちゃがいっぱい。

 

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本好きの子どもにとっては心躍る場所でしょうね。私も本好きの子どもで、こういうところに連れていってもらったときの楽しい想い出がよみがえりました。

 

 

www.chiisaiouchihon.jp

 

 

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夜は越高さんご一家に案内いただき、おいしいお食事を頂戴しました。松本のお蕎麦、やっぱり絶品ですねえ。。。

 

ああ、思い返せば反省ばかり。もっともっと話したいことがありましたが、自分の話力不足を思います。せっかく呼んでくださった書店組合の皆様、すみません。しかし大変貴重な体験をさせていただきました。

関係者の皆様、ご来場いただいた皆様、本当にありがとうございました。

 

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松本市にはこの旧開智学校をはじめ、趣ある建物がいっぱい。

 

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それらが初秋の花に囲まれて、なんとも美しかった。翌朝はゆっくり散歩を楽しみましが、そのことはまた明日の日記につけますね。

 

 

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