白央篤司の独酌ときどき自炊日記Ⅱ

フードライター。郷土の食、栄養、暮らしと食をテーマに執筆しています。連絡先→hakuoatushi416@gmail.com 著書に『自炊力』『にっぽんのおにぎり』(理論社)、『ジャパめし。』(集英社)など。メシ通『栄養と料理』『ホットペッパー』などで執筆中。

金沢『𠮷はし』

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先日、取材で石川県に行ってきました。

早めに行って金沢で降り、和菓子店の『𠮷はし』に寄ってきましたよ。

 

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入り口にはホテイアオイが飾られ、ちょうど花が。

 

 

お菓子は前日までの要予約、

お電話すれば、ちょうど栗きんとんが始まったばかりというタイミングでした。もちろん「お願いします!」と即答で。

 

 

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ひと粒の美栗をそのまま味わっているようなシンプルさと、幾粒もの良栗の結集という感じの多層感がきれいに溶けあって、ひとつのお菓子になっている……。

素晴らしいものですね。

 

などと感激しながら、近くの公園でいただいたのでした(笑)。

 

こちらのお店、古典演劇の評論家で茶人の村上湛(たたう)さんがTwitterで賞美されていて、とても気になったのです。

 

村上先生に感謝。

 

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その他のお菓子もきれいで、引き込まれる味わいで。

 

古都の秋風を感じつつのお菓子、堪能しました。いい時間だった。

 

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さてここでもう一度、先の写真を。

のれんの左わきに何かがぶら下がっているの、分かります? 近づいてみれば、トウモロコシでした。お店の方に訪ねると「近くにある観音院さんの、四万六千日のですよ」とのこと。いわゆる門守、というんでしょうかね。

「トウモロコシの毛の豊かな感じが“もうけ”に繋がる……なんて言いますけどもね」と、笑顔で教えてくださった店員さん、ありがとうございました。

ご商売の縁起物なんでしょうね、各地のいろいろな信心の姿。

 

金沢の言葉というのも、独特のアクセントがあるんですな。古いご商売の方々だから顕著なのもあるでしょうが、柔らかくて、西の言葉ともちょっと違って。もちろんうまく聞き取れるわけもないのだけれど、そこを感じられたのもよかった。

 

金沢、また伺いたいです。今回は20年ぶりぐらいの再訪でした。先の戦争で空襲が無かった数少ない国内の地。

 

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