神奈川県の横須賀市にやってきました。
我が家からは電車で約2時間、JR横須賀駅を降りるとすぐにこんな光景が。うーん、イメージどおりの世界ですね。このあたりを訪ねるのは初めてなんですよ。
駅を出ると目の前に広がる、ヴェルニー公園というところからの眺めです。
↑ 横須賀観光情報「ここはヨコスカ」サイトによると、駅から降りて右手が米軍、左手が日本の海上自衛隊なのですね。最初の写真が日本で、2枚目のが米軍になるのかな。
旧横須賀軍港の門兵が詰めていた場所とのこと。「建てられたのは明治末期から大正にかけてと思われる」なんて書かれてありましたよ。
今回、横須賀を訪ねたのはツイッターを通じて知り合った新聞記者のOさんにお会いするため。私がとある漁師さんの活動をテレビで知って感想をツイートしたところ、「知り合いなんですよ、ご紹介しましょうか」と声をかけてくださったんですね。
ぜひとも、とお願いしました。
待ち合わせは昼の12時すぎ。生憎のお天気だったんですが、私が着いてからしばらくすると……
どんどん晴れて、この澄みわたり。
うーん、私の数少ない長所である「晴れ男っぷり」が発揮されました。よかった。
まずは腹ごしらえを、ということで横須賀は長井漆山漁港へ。朝の湿気はどこへやら、カラッとした潮風が吹き抜けて、なんとも気持ちがいい。
ところどころで漁師さんが網の手入れをしたり、片づけをされていたり。この光景の真後ろにある、
Oさんおすすめの『あらさき亭』へ。
この日はカニが上がらなかったということで、「お魚のセット」と「季節のお魚セット」を1つずつ注文。シェアして楽しみました。
ああ…チゴダラの煮つけが忘れがたい。
白ごはんをもうね、がっぽがっぽと食べてしまいたくなりました。甘辛の煮つけ具合が抜群で、それでいてこんなに身もきれいに煮上がるなんて。
「習いたい!」強くそう思いましたよ、ええ。
うるめいわしの刺身。
カマスの塩焼き
ホウボウの塩焼き。
いやはやどれもうまいよ……。Oさん、連れてきてくれてありがとうございます。心で感涙。ホウボウは小さいのに身付きのよいこと。皮がまたうまいなあ。
ヒジキの煮つけ。
海苔とワカメの味噌汁。
ヒジキもみそ汁も真っ黒で見映えはしない かもですが、なんとも香りがゆたかで、歯ざわりが良くて。「磯の香、充填!」ってな気持ちになりました。
そして最後に自家製の寒天を黒蜜で。きれいでしょう? 実際に目にするとちょっとオパール感すら漂っていました。歯で挟んで「スウッ」と割れていくさまのなんとも言えない心地良さ。
ごちそうさまでした。
おかみさんなのかな、お店のかたも実に気持ちのいい、サバサバっとした明るい方でしたよ。
さて、隣の長井漁港へ向かいます。
房竹丸直売所。
こちらのご店主にお会いしてみたかったのです。
この日売られていた品々。
もうこれだけでなんか…食欲刺激されますね(笑)。さっき食べてきたばかりなのに。
ご主人の宮川聡さん。
三浦市城ケ島の出身で、ファミレスの営業職などを経て30歳で脱サラ、漁師の道へ。
空いている漁場で何が獲れるのか、どうしたら効率よく獲れるのか、先輩のやり方を見て学びつつ、暗中模索する日々。漁師をしつつ夜はバイトもする日々が4年続いたそう。40歳になられた現在では魚を獲り、加工、直売までをこなす6次産業化を果たされています。
宮川さんの相棒、房竹丸。
直売所の目の前の海。
ここで宮川さんは現在、カキやアカモク(海藻、ギバサとも)の養殖も行われているのだとか。直売所内の水槽にはタイやイセエビ、サザエにタコ、ホラ貝までもが入って、なんともにぎやかでした。
いろいろと購入してきましたよ。アジやカレイ、タイの干物にムギイカの沖漬け、立派なヒジキは「サラダにもいいですよ」とおかみさん。干物はどれも塩気がきつくなくて、それでいて味がしっかりのっている。沖漬けはそりゃもちろん日本酒のアテに。さっぱりしてるのにうま味が濃くて、よかったなあ。
もちろんすべて、横須賀の海で獲れたもの。
明るくて朗らかな宮川さんご夫婦。周辺のファンを着実に増やされているようで、お話をうかがっている間にも来客や問い合わせの電話が続きました。
「新たな名物を作りたい」という宮川さん、地元食材を使った料理を目下考案中のよう。楽しみです。
お時間いただき、本当にありがとうございました。
長井のあちこちで咲いていた花。ダイコンの花の一種でしょうかね。
横須賀市中心部で一杯
さて、仕事から上がったOさんと市街で飲むことになりました。Oさんは私と一緒でかなり酒好きのよう。お気に入りの酒場を案内してくださいましたよ。
まずはこちら『酒のデパート ヒトモト』へ。酒販店が営むスタンディング、いわゆる角打ちですな。
17時過ぎに入ったら先客がうしろにふたり。
「めずらしいですよ、たまたま空いてるんだな。これから18時までにはいっぱいになるはずです」とOさん。実際、続々とこのあとお客さんが増えていきます。
缶詰や乾きものの他、シュウマイや煮込みなどのメニューも。
「以前あった、肉ちまきがすごくおいしかったんだけどなあ。きょうはないんですね」とOさんがしみじみ残念がっていたのが印象的。Oさんはホッピーを頼まれました。
私は宮城の酒『萩の鶴』を。
カウンター内にはおふたりのおばちゃんがいて、これがどちらも愉快なひとで。「写真撮っていいですか?」と訊いたら掛け合いのように
「いいけど私はダメよー」
「あらいいじゃない」
「ダメダメ、こんな顔じゃ」
「お化粧してきたら」
「そうねえ、じゃあそれまで待ってて」
「いつまでかかるのよ(笑)」
なんてやり取りで周囲を沸かせます。これもまたひとつのアテ。
2杯目は神奈川の地酒『残草蓬莱』、梅水晶をアテに。以前に蔵元見学もさせてもらったなあ、と思い出しつつ。風情のある素敵な蔵でした。
酒類豊富でいいですねえ。ここで味見して隣で買って帰れる、というのがうらやましい。さて混んできました、どちらともなく「もう1軒、行きますか」とOさんと目を合わせ。「すごく雰囲気のある、昔ながらの居酒屋が近くにあるんです」と。ぜひぜひ、連れて行ってください!
『大衆酒場 ぎんじ』
店内は撮影禁止、写真はありませんが……いやー、昭和映画好きな私のモロ好み。入ってもうね、興奮しました。冷蔵庫やガス台は現代のものにしつつも、そのほかはすべて昔ながらの感じが残されています。使い込まれた木のカウンター、テーブル、流し場の感じ、品書きが貼られた壁……見惚れましたね。
コハダでぬる燗、四月の宵。思い出してもうれしくなる。気分はもう成瀬巳喜男の映画に迷い込んだかのよう、中北千枝子がそこにいるかのごとく。
絶対に再訪したい一軒です。
Oさん、きょうは半日アテンドしてくださり、本当にありがとうございました。横須賀のまちの歴史もたっぷりと教示くださり、感謝です。
房竹丸さんでやっぱりタコも買ってくればよかったな……とプチ後悔しつつ、京急に乗って帰りました。山口百恵を口ずさみつつ。