「中高年になる前に、ある程度の料理力を」
前々から、こんなことを思っていました。
自分で買い物に行って、その場で食材を選び、1週間程度の献立を作りまわせるぐらいの料理力を身につける――これを30代ぐらいまでに身につけたとしたら、人生における大きな財産になると思います。
中高年になり生活習慣病になったとして、料理力もなく、経済力もないと、これはとてもつらいことです。
今までの取材などで、高血圧や糖尿病になり、独身で自炊も苦手で…という人に何度か出会いました。日常の食事療法が必要な生活習慣病(昔でいう成人病)は多いんです。食事がめんどうになり、食の楽しみがなくなり、ヤケになる人は少なくない。
「独身じゃないから平気」でもないですよね。今はもう「奥さんに頼るよ」という時代でもないでしょう。
先日、とある会社との打ち合わせで20代、30代の貯蓄意識の高さを示すデータを拝見しました。「病気になったときの出費が心配」という声、すごく多いのだそう。保険に対する関心も高いそうです。
そういう世代にこそ、「食材の買い物力、自炊力の取得」を訴えたいなあ。
年をとると、だんだんと学ぶことも億劫なら、食べることも億劫になっていきます。
たまに、料理教室に通う中高年(あるいは老年)男性の姿がテレビで報じられたりしますね。結構なことだと思いますが、よく「何かをはじめるのに遅いなんてことは1つもないですね!」的な、きれいな言葉でシメられていたりします。
そうかもしれませんが、すべては「やる気・経済力・時間」の3つが伴ってはじめて成立します。中高年以降に、この3つがそろう人は相当少ないのではないでしょうか。
「そうなったらなったで、なんとかなるさ」というのは、現在の50歳以上にとても多いように感じています。そういった思考のとどのつまりが、今の日本に思えて仕方ない。日本はもっと、医療費削減を「病気にならないこと」「未病の段階でくいとめる」方面から考えなければ。国民皆保険というのは世界に誇れる、理想的な制度だと思います。なんとか、維持していきたい。
「インスタ映え」から料理を始めてみた、という若い人の声を少なからず聞きます。そんな子たちが、これから料理力を身につけていってくれることを望んでやみません。
なーんてことを…今朝、ふと考えておりました。
追記
ツイッターのほうから、「料理も買い物もするけど、一週間の作りまわしはハードルが高すぎるのではないか」というご意見をいただきました。
私はこう考えます。
何か1つの料理を作るために買い物をしたとして、その余った材料をほかのメニューに応用する…というところまで料理力をつけてほしい。
買って1食作ったはいいけれど、材料があまって、くさってイヤになった…という声、ホントよく聞くのですよ。そこを乗り越えていないと、いざというとき意味がないと思うんですね。
どのくらい買ったらいいか、そして食材の適切な保存方法、さらには冷凍方法まで知っておいてほしいと思うのです。
イワシの梅煮弁当
今朝のツレ弁はイワシの梅煮弁当でした。
本当は違うものを買いに行ったんですが、あまりにイワシの背が青くてきれいで、なおかつ安かったので思わず購入。使い切りたい小梅がけっこうあったので、ちょうどよかったな。
醤油、酒、みりんをドボドボ、ショウガと梅干しも入れて、落としブタして30分煮て冷ますだけ。慣れちゃうと楽なメニュー…なんですけど、他のかたはもっと丁寧に作っているかも。
ほかに三つ葉入り玉子焼き、インゲンのゴマぽん酢和え。
有賀薫さんのスープ
仕事でもお世話になっている、スープ作家の有賀薫さんがcakesの連載でアップされていた、モロヘイヤのスープを作ってみました。
モロヘイヤとトマト、ニンニクにクミンがあれば出来ちゃうスープ。
おー…タイトルどおり、野菜だけとは思えないパンチ! 調味料もいたってシンプルなんですよ。有賀さんのレシピは「素材の味を素直に水にうつす」感じが好きなんです。
「ひき肉と玉ネギを足してカレーにしてもおいしい」と有賀さんがFBでおっしゃっていたの、分かるなあ。夜はそれにしよう。
しかし、暑いですねえ…!
先週だけで熱中症で搬送された人は全国で約4200人にのぼり、6人のかたが亡くなられたとか。こまめな水分補給とクールダウン、心がけなければ。
私は冷房負けしやすいんですが、そんな体にこのあったかいスープ、効きました。
モロヘイヤはカロテン含有量が葉物野菜の中ではダントツなんです。カルシウムもたっぷり。スープだと、カリウムもあますところなく摂取できるのがいいですね。値段も安くて、ありがたい。