おにぎり、おやつに続くシリーズ三部作、完結となりました!
今回も「一県一食」、そのエリアで食べられてきたおかずをとりあげました。そこから全体像として、
- 日本人はお米とともに、どういうものを食べてきたのか?
- 日本のおかずで使われてきた、基本的な調味料とは?
- そして、日本のおかずの代表的な調理法とは?
この3つが、浮かび上がってくるようにつくったつもりです。
話は飛ぶようですが、日本における冷蔵庫の普及率がほぼ100%となったのは、昭和51年(1976年)ごろ。(社団法人 日本電気文化会調べ)その前の世代、昭和40年代には冷凍食品の生産がさかんになった時代でした。
そして冷蔵庫が「一戸一台」の時代を迎え、好景気はピークとなり、誰しもが冷凍室付きの冷蔵庫を持つようになってきます。昭和60年代(1985年~)に突入して、時代は大型冷蔵庫や、野菜室付きの高機能冷蔵庫の時代へ。これは同時に、商業的な大規模冷蔵冷凍技術の発達・進歩も意味します。
日本人は、1970年代後半からどんどん食べものの腐敗から解放されていきました。
見方を変えれば、それまでの長い長い時間は、常に「生きるための糧を腐らせないこと、保存すること」とのたたかいでもありました。
日本にかぎらず、食物史というのは「腐敗とのたたかい」でした。せっかくたくさん収穫できても、獲物があがっても、それらは土から抜かれたり、命を失った時点からどんどん腐り出していきます。
「どうしたら一日でも長く保存できのるか? 」
「かつ、おいしく保存するにはどうしたら?」
我々の祖先が何世代もかけて試行錯誤した結果が、各地・各国のおかずになっています。
「乾燥させる」「醤油や味噌など、強い塩分で腐らせないようにする」といった日本人の歴史的な「おかずキープ方法論」も浮かび上がってくるように、『にっぽんのおかず』を書いたつもりです。よかったら、お手に取ってみてください。
白央 篤司 拝