白央篤司の独酌ときどき自炊日記Ⅱ

フードライター。郷土の食、栄養、暮らしと食をテーマに執筆しています。連絡先→hakuoatushi416@gmail.com 著書に『自炊力』『にっぽんのおにぎり』(理論社)、『ジャパめし。』(集英社)など。メシ通『栄養と料理』『ホットペッパー』などで執筆中。

湯豆腐を第1食に

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豆腐があって下仁田ネギがある。

こりゃ湯豆腐しかないでしょう……ということで、午前中から湯豆腐に。

美味しんぼ』であったな、こういうの。確かに不思議な昂揚感がうまれるね。

 

うん。父が一時、湯豆腐に凝ったことがあった。

25年ぐらい前で、私はまだ中学生。あの頃に、湯豆腐の作り方は覚えた。

 

といってもごく簡単、

1:鍋に水を入れて、

2:10センチ角のだし昆布を入れ、沸騰しない程度にあたためる。

(母がちょっと得意げに「六甲のおいしい水」という当時はやったミネラルウォーターを使っていたのを思い出した。水を買うのが不思議でなくなったのは、ここ25年ぐらいのことだと思う)

 3:しばらく経って煮えてきたら、豆腐とネギを入れて、終わり。

 

そば猪口に醤油とおかかを入れて、鍋に一緒に入れていたような。あそこに料理酒もちょい入れていただろうか。※この醤油はかならず濃口で

 このあたためた鰹醤油で、湯豆腐をいただく。

 

 「ショウガすりおろして」

母に毎度頼まれるの、面倒だった。どうしてあんなことでぶーたれたのだろう。気持ちよく引き受けておけばよかったな。

 

湯豆腐を食べて、テレビを見て、ビールを飲んで、寝る。日曜の父のお決まりコース。

食事中は、ほとんどしゃべらない。話しかけても空返事。

損保の営業で、当時40代後半だった父。管理職だったし、疲れていたんだろうと思う。スイッチの切れた人形のようだった。でも口と目だけが動いていた。

平日はつきあいやら接待やらで、濃いものを食べていたんだろう。胃を休めたかったんだろうな。

 

我が家の日曜日は、父にとって心安めの場所になっていたんだろうか。

 

うちの湯豆腐は本来、カキもたっぷり入れてつくるもの。

誰かを呼んで、カキ湯豆腐会でもやろうかな。

 

 

 

◇お知らせ

オムロンのサイトで連載しているお弁当コラムが更新されました。

今回は鶏団子と野菜たっぷりおかずのお弁当です。

ちょっとのぞいてみてください。