白央篤司の独酌ときどき自炊日記Ⅱ

フードライター。郷土の食、栄養や減塩をテーマに記事を制作しています。連絡先→hakuoatushi416@gmail.com 著書に『にっぽんのおにぎり』(理論社)、『ジャパめし。』(集英社)など。メシ通、『栄養と料理』、『ホットペッパー』、農水省広報誌などで執筆中。

川越市立美術館「小村雪岱 雪岱調のできるまで」~川越まち歩き

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川越市立美術館で開催中の、小村雪岱展に行ってきました。

 

素晴らしかったです…。

日本画家で挿絵画家、装丁家でもあり、イラストレーターとしても活躍した小村雪岱(こむらせったい 1887-1940)。

もともとその幻想的な筆致に惹かれていましたが、今回たくさんの作品に触れてますます好きになりました。足を延ばして、良かった…。

 

彼のプロフィールを、美術館のサイトから一部引用。

荒木寛畝塾や東京美術学校(現・東京藝術大学)で日本画の基礎を学んだ雪岱は、当初は主に本の装釘や舞台装置の世界で活躍していました。そんな雪岱を一躍有名にした決定的な仕事が、昭和8年(1933)に朝日新聞に連載された邦枝完二作「おせん」の挿絵でした。以降、挿絵画家としても人気を得た雪岱は、多忙を極めながらも数々の名作を生み出しました。


 華奢な人物像、極細の線による無駄のない描写、余白を生かした画面構成、そして挿絵における白黒二階調の明快な配色は、雪岱画の特徴であり、大きな魅力です。本展では、多岐にわたる雪岱の画業からとりわけ挿絵の仕事と、その中で育まれた「雪岱調」とよばれる独自の絵画スタイルに注目します。雪岱作品の持つ繊細なセンスや確かな描写力をお楽しみいただけましたら幸いです。

 

無名時代に泉鏡花にその才を見出され、彼の本の装丁を手掛けた雪岱。鏡花世界を描いた夢幻の作品群を直に観られたのは幸せな時間でした。

その一枚一枚だけで坂東玉三郎の舞台を観たような満足感が得られる…と言ったら言いすぎかもしれませんが、かつて玉三郎も「歌舞伎や新派を演じるものは、必ず取材として観なくてはならない画家の先生方がいます」と語り、そのひとりとして小村雪岱を挙げています。

 

今回出合えた忘れられない一枚が、高橋お伝を描いた挿絵。港でキマりを見せる一枚がなんとも鮮やかで、静かに烈しくて。見入りました。

そして彼の描く雨は有名ですが、柳も素晴らしいですねえ…。柳の若芽のなんと美しかったことか。そして着物の表現の見事さ。縞の魅力。

 

今まで気づきませんでしたが、日本を代表する漫画家のひとり、山岸凉子は雪岱からかなり影響を受けているんでしょうね。と私は確信したのですが、山岸さんがそう語られているわけではありません。

 

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感想を書いていったらキリがないなあ…。資生堂の香水ボトルのデザインにも雪岱が関わっていたのは意外でした。サンデー毎日の表紙を書いていたり、西郷隆盛を描いた小説の挿絵もあったり、そして若き日の卒業制作の作品が観られたり…まさに「雪岱調のできるまで」を追えた、濃密な時間となりました。

上の写真は会場の川越市立美術館。

歌舞伎や新派がお好きなかたに強くおすすめします。ただ会期がもうすぐ、11日まで

図録は完売、現在増刷中とのことで予約してきましたよ。一部2500円。送料負担で送ってくださるとのこと。ありがたいですね。

 

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美術館までは、川越駅西口からのバスで15分ぐらいだったかな(平日昼間でしたが、駅周辺の道がわりに混んでいいたのです)。

けっこう肌寒かったけど、帰りは徒歩で。川越のまち歩きを楽しみました。上の写真は川越高校正門。通称カワタカ、地元の名門です。

 

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川越のまちは花ざかり。はからずも今年の梅見ができました。

 

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川越名所といえば喜多院です。『監察医 室生亜希子』って浜木綿子さんの人気ドラマシリーズ、ご存知ないですか? あのドラマは川越が舞台、ここもよく出てきましたね。

 

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院内の茶店には当然のようにコエドビールが置いてますよ。おでんも売られていて、一杯やりたくなっちゃいました。しかし今日は我慢。

 

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木蓮のつぼみ、もうこんなに。

 

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ところどころで古い建物が残っている川越のまち。

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有名な「時の鐘」へ。

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蔵づくりの町並み、よくテレビにも出てきますね。川越が舞台のドラマといえば野村芳太郎の映画『鬼畜』もそう。映画の冒頭では菊代という役を演じた小川真由美が子供をつれて、こんな蔵づくりの店前を歩いていました。ちなみに、冒頭では40年前の川越市駅の姿も見られます。

さあ、蔵通りから川越駅に戻っていきます。美術館~喜多院~蔵づくり通りと歩いてきてますが、なかなかいい散歩コースなので、もし行かれたらぜひぜひ。

 

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蔵づくりの通りも、このへんで終わり。

 

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クレアモールという通りに向かう手前にあるこちらの建物。おみやげショップなんですが、もともと『鏡山』というお酒の蔵だったんですね。私は30年前ぐらいに来たことがあって、酒米蒸しの湯気がもうもうと昇っていたのを覚えています。

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2000年に後継者がなく廃業、2007年に現在の作り手が銘柄を復活させたんですね。いまでは人気酒のひとつとして各地で愛されています。

「川越は蔵のまち、やはり市内に酒蔵がなければ」とは蔵人の思い。現在もここから近くのところに蔵があるんですよ。

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川越名物、丸広百貨店でおみやげを買いました。

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埼玉銘菓3つ、行田『十万石ふくさや』の十万石まんじゅう、川越『亀屋』の最中、浦和『花見』の白鷺宝。どれもおいしいんですよ。特に白鷺宝はお気に入りで、よく購入しています。

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さあ、帰って夕飯作らなければ。

ちなみにここからふり返ると、

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こんな感じ。今度は夕方に来てみたい。気になる食事処、何店か見つけました。

 

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帰宅すれば18時ちょっと前。トワイライトに雪岱展のチケット、よく映えたなあ。そう、「逢魔が刻」をすくい取る名人ですね、雪岱は。

 

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それでは、また。