白央篤司の独酌ときどき自炊日記Ⅱ

フードライター。郷土の食、栄養、暮らしと食をテーマに執筆しています。連絡先→hakuoatushi416@gmail.com 著書に『自炊力』『にっぽんのおにぎり』(理論社)、『ジャパめし。』(集英社)など。メシ通『栄養と料理』『ホットペッパー』などで執筆中。

大阪・箕面市立第五中学校にてオーサービジット

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大阪に行ってきました。

 

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箕面(みのお)市立中央図書館からお招きいただき、こちらの箕面市立第五中学校で講演をさせていただいたのです。

 

箕面市箕面・世界子どもの本アカデミー賞という賞を制定されており、そこに拙著『にっぽんのおにぎり』がノミネートされたんですね。受賞には至りませんでしたが、事業の一環「オーサービジット」(著者訪問)として、私も呼んでいただけたのです。

 

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嬉しいお迎え。(^ω^)

場所は体育館、「寒いのでどうぞ上着のままで」とのお言葉に甘えております。

 

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『にっぽんのおにぎり』から各地の食文化の話、そして

現在の日本人のお米の利用法

お米の銘柄、その数は?

最もお米をつくられている県、ベスト3は?

炊き込みごはんから考える「食いつなぎの知恵」

フードライターという仕事

なんてことを、中学1年生144人のみんなにお話してきました。

 

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最後のまとめに、こんなことを話しました。

 

箕面大阪府の北部にありますね。それに対して南のほうは、言葉がかなり違う。

距離がひらくと、だんだんと言葉は変わるもの。

同じ大阪弁でも、北と南ではけっこう違う。

でもざっくり同じ、大阪弁

 

食も似ている。

 

箕面と、たとえば堺だったら、大阪人としてざっくり同じもの食べてるけど、地元ならではの食べものはちょっとずつ違う。

おとなりの京都や兵庫だったら、もうかなり違うよね。

「ちょっとずつ変わる」は、距離が増すごとに多くなる。

じゃあ四国や九州、中部や関東だったら…?

言葉も違えば食も違う。

ざっくり日本人として同じもの食べてるけど、

ちょっとした違いはいっぱいある。

 

いまはみんな中学生で、同じ市内のみんなとつきあっている。

これから高校や大学、そして就職。

恋人ができたり、結婚をしたり。

ほかの地域で育った人と、たくさん出会うようになる。それはみな、違う様々な食べものを食べて、育ってきた人たち。

 

これから近しい人ができるたび、まったくなじみのない食べものと接することも増えていくと思います。

そのとき。

食べ慣れないものは「おいしくない」と感じたり、それ以前に「食べたくない」と思うかもしれない。受けつけないかもしれない。

けれどそれらは、君たちがなじんできた大阪の食べものと同じように、その人にとっては小さい頃からなじんできた、地元の味。

そのことを、覚えておいてほしい。

 

できれば、知らない新しい土地の味を、面白がれる人になってほしい。

 

それは大事な友達や、好きな人の育った文化を尊重する気持ちにつながります。

 

 

いつもこういうことを、まとめにお話しています。

 最後までみんな熱心に、静かに聞いてくれました。

箕面五中のみんな、本当にありがとう。

これから食との良い出合いがたくさんありますように。

 

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里村校長先生、そして司書の先生、お招きくださった箕面市立中央図書館の関係者のみなさまにも深く感謝いたします。Hさん、当日の親切なアテンドありがとうございました!

 

しかし…やっぱり終わってから「あそこはもっとゆっくり話すべきだった」「あのへん走りすぎていたなあ…」「ここで写真資料入れたほうがより興味を持ってくれたはず。なぜ気づかなかった」などなど、いろいろ思うものですね。汗顔の至り。

しっかり反省して、今後の参考にしなければ。

 

仕事を終えて 

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さて、せっかくの大阪行。

いろいろ見て回ります。

 

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大阪、本当に絵になるところが多いなあ。

こちらは千日前。クラシックな建築物が多くて、昭和映画好きの私はコーフンしました。ここ、あとで夜景の写真も出てきます。

 

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先の通りの裏筋にいた猫。

なんとも愛嬌のある顔で思わず撮ってしまいました。ちょっと…イギリスのヘンリー王子を思い出させる。

 

千日前2丁目『虎徹』

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大阪の夜、一軒目は『虎徹』(こてつ)という日本酒立ち飲みのお店へ。

島之内2丁目のドーミーイン(ビジネスホテル)を取っていたのですが、「近くならここがおすすめ」と、地元のかたに教えていただいたんです。

 

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はい、了解です。さあ中へ。

 

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お、宮城のお酒がある!

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遠田郡美里町の川敬商店がつくる『黄金澤』山廃・初しぼり生原酒、実に好み。たっぷり豊かにうま味が広がります。

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ははは、やっぱり緊張してたんですねえ。ひと口目のおいしかったこと(笑)。無事に終わった…とようやく実感、染みわたりました。

 

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ああ、なんとも魅力的な黒板。

 

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高野豆腐の詰め煮(350円)をいただきました。

うまかった…。

 

でも、落ちついてはおれません。行きたい店が他にもあるのだ。飛ばしたいところを我慢して、サクッとね。

ごちそうさまです。必ずまた来ます。

 

法善寺『上かん屋 久佐久』

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千日前2丁目から、『夫婦善哉』で有名な法善寺まで移動(徒歩で5分もしないぐらい)、『上かん屋 久佐久』(じょうかんや きゅうさく)へ。

 

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運よくカウンターに座れました。

18時ちょっと前だったかな。

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名物という「おから」、ひと口いただいて目を見開きました。

うまい。。。

どうやったらこんな風に作れるんだろう。

「おいしい」と思わずひとり、呟く。

 

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お酒は大阪のお酒『呉春』にしました。錫の“タンポ”で供されます。

お店の名前にもなってますし、ここは「上かん」で。

ああ、あったまる。

 

八尾若ごぼう

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大阪に春を告げる「八尾若ごぼう」の炊いたの。

いただけて嬉しかったです。

葉から茎、根まで食べられる八尾市特産の若いごぼう。フキよりさらに淡いほろ苦さがあって、いいもんですな。ちなみに大阪府八尾市はあの『旭ポンズ』のふるさと。天童よしみ青木崇高の出身地でもあります。

 

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これは翌日、黒門市場で撮らせてもらった若ごぼう

ああ、連泊でなければ買って帰りたかった。

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空堀商店街ではこんな風に売られていました。

ごぼう香川県高松市の商店街でも見かけましたね。あちらは「葉ごぼう」と言うんだったかな。大阪のスーパーをいろいろまわりましたが、長崎産の若ごぼうも売られていましたよ。八尾よりちょい割安。

 

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さて話は『久佐久』さんに戻って、お次のつまみはどて焼き(牛スジの白味噌煮)です。

小料理屋さんでいただくのは初めて。甘すぎず、いい塩梅だったなあ。いつか挑戦してみたい。

お腹もおちつきました、ごちそうさまでした。

 

大変フレンドリーな給仕さん(ホールスタッフ、なんて表現ではなく旧派でここはお呼びしたいところ)がいろいろ大阪の食べもののこと、教えてくださいました。ありがとうございます。

 

そして何より、素敵なお店を教えてくださった「ぶん」さん、ありがとうございました。

 

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腹ごなしに、大阪のまちウロウロ。

迫力ある絵が撮れますねえ、圧倒されるな。そして外国人観光客のかたがもうホント、わんさかという感じでこの下にひしめいているのです。

 

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先に出てきた場所の夜景バージョン。大映の映画にまぎれ込んだような気持ちに。

うれしい。

ああ、トリップ感!

 

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金龍ラーメンの看板。

 

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『たこ梅』でちょっとクジラをつまんだり。

 

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リズム&串カツ!

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繁華街ならではの「色気」がありますねえ。猥雑さというと少々味気ない。

東京だと新橋に同様のものを感じるけれど、濃密さでは大阪なんばには敵わない。

 長崎や博多の繁華街にも独特の色気がある。

 

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たっぷり歩いて小腹が空き、タコ焼きに惹かれてしまいました。1パック買って、ビジネスホテルに持ち帰り。

 

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お好み焼きもたこ焼きも、大人になって関西を旅して、良い店でいただいてからその真価を知りました。

良いお店といっても別に高級店じゃなくて、そのへんにあるフツーのおっちゃんおばちゃんがやっているようなお店ですよ。

東北や関東にいては、これらの味は分からない。

「えー。どっちも結局ソースの味でしょう」と思う人は、ぜひこっちで食べてみてほしいなあ。

 

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明日につづきます。

 各店の皆さん、写真のOKいただきありがとうございました。