白央篤司の独酌ときどき自炊日記Ⅱ

フードライター。郷土の食、栄養、暮らしと食をテーマに執筆しています。連絡先→hakuoatushi416@gmail.com 著書に『自炊力』『にっぽんのおにぎり』(理論社)、『ジャパめし。』(集英社)など。メシ通『栄養と料理』『ホットペッパー』などで執筆中。

「こごみ」という山菜、そして桜

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この日のツレ弁。

真ん中のクルッとしたのは、こごみという山菜です。

この独特の形を見ると「春だなあ…」という気持になるんですよ。私が育った東北のほうではこの時期、よく食べました。苦みもごく、おだやかです。

下ゆでして、ポン酢にくぐらせた薄切り豚肉で、“なます”と一緒に巻いてあります。フト思いついた組み合わせですが、なかなかよい相性でした。

ほかにタケノコのおかか和え、エリンギのゆずスコ炒め、マイタケの山椒煮。

 

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アクが少なくて、山菜の中ではトップクラスに扱いやすいもの。

写真にあるように「こごめ」とも呼ばれるようですね。正式名称は「クサソテツ」、この名だとなんだかそそられない(笑)。この日は1パック100円でした。

渓流沿いによく生えるもので、小さい頃には母の実家のほうで摘んだ記憶があります(母の実家は新潟の下越地方の山奥)。

もうウン十年前。今もあのあたりに生えているかなあ…。

 

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夜はちらし寿司に。黄色と緑と茶だけでつくるのが、私なりの「春ちらし」です。

こごみ、タケノコ、煮シイタケ、絹さや、そして細切り玉子。

 

以前、仕事でとある料理研究家さんにちらし寿司を作ってもらったんですね。そのときアシスタントさんが切った錦糸玉子をチェックするなり

これじゃ糸じゃなくて、縄ね」と、先生がおっしゃいました。

糸のように細いから、錦糸玉子。たしかにアシスタントさんが切ったのは糸のようではなかったけれど……。

それ以来、とても自分のを錦“糸”玉子と呼べません。

 

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うちの隣の公園の桜。この木だけよーく咲いていました。

こごみは桜の時期によく生える山菜なんですよ。