アカデミー賞の作品・脚本賞を獲ったことでも話題になったこの映画、観てきました。
すばらしかった。
抑制のきいた演出、演技力のある俳優たちの確かな演技……堪能しました。
「これは映画館で観ておきたい」と久々に感じた映画だったんですが、大正解。
足を運んで、よかったな。
事実に基づく話で、ボストンの新聞記者たちが描かれます。
彼らが追うのは、教会の神父たちの秘密。彼らには性的虐待のうたがいがありました。それもひとりではなく、多数に。そして長年にわたっての隠蔽の疑惑です。
ショッキングなテーマなのですが、映画の本質は「報道にたずさわるものが一番大事にしなければならないものとは?」という点を描くことにあります。「事なかれ主義」の制作者が少なくない現在、とても胸に迫りました。
重い話ですが、ヒューマニズムが説かれるわけではありません。「立派な信念の人々を賛美する」なんて目的でもありません。
いい映画というのは、押しつけがましさが一切ないものですね。
徹頭徹尾、淡々と描かれるその映画的筆致、まさに大人の映画でしたよ。
今年はもうちょっと映画館に通おうと思います。
追記
そうそう。なーんかこの映画、「ポール・ニューマンがひょいと出てきそうだなあ」と思えてならず。編集会議の片隅とか、デスクの奥からフッと現れてそうな気がしてなりませんでしたよ。ある年齢以上の映画ファンなら、なんとなーく分かってもらえるんじゃないかな…。好きな俳優さんでした。