白央篤司の独酌ときどき自炊日記Ⅱ

フードライター。郷土の食、栄養、暮らしと食をテーマに執筆しています。連絡先→hakuoatushi416@gmail.com 著書に『自炊力』『にっぽんのおにぎり』(理論社)、『ジャパめし。』(集英社)など。メシ通『栄養と料理』『ホットペッパー』などで執筆中。

映画 『スポットライト世紀のスクープ』

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『スポットライト世紀のスクープ』

アカデミー賞の作品・脚本賞を獲ったことでも話題になったこの映画、観てきました。

 

 

すばらしかった。

抑制のきいた演出、演技力のある俳優たちの確かな演技……堪能しました。

 

これは映画館で観ておきたい」と久々に感じた映画だったんですが、大正解。

足を運んで、よかったな。

 

事実に基づく話で、ボストンの新聞記者たちが描かれます。

彼らが追うのは、教会の神父たちの秘密。彼らには性的虐待のうたがいがありました。それもひとりではなく、多数に。そして長年にわたっての隠蔽の疑惑です。

 

ショッキングなテーマなのですが、映画の本質は「報道にたずさわるものが一番大事にしなければならないものとは?」という点を描くことにあります。「事なかれ主義」の制作者が少なくない現在、とても胸に迫りました。

 

重い話ですが、ヒューマニズムが説かれるわけではありません。「立派な信念の人々を賛美する」なんて目的でもありません。

 

いい映画というのは、押しつけがましさが一切ないものですね。

徹頭徹尾、淡々と描かれるその映画的筆致、まさに大人の映画でしたよ。

 

今年はもうちょっと映画館に通おうと思います。

 

追記

そうそう。なーんかこの映画、「ポール・ニューマンがひょいと出てきそうだなあ」と思えてならず。編集会議の片隅とか、デスクの奥からフッと現れてそうな気がしてなりませんでしたよ。ある年齢以上の映画ファンなら、なんとなーく分かってもらえるんじゃないかな…。好きな俳優さんでした。