白央篤司の独酌ときどき自炊日記Ⅱ

フードライター。郷土の食、栄養、暮らしと食をテーマに執筆しています。連絡先→hakuoatushi416@gmail.com 著書に『自炊力』『にっぽんのおにぎり』(理論社)、『ジャパめし。』(集英社)など。メシ通『栄養と料理』『ホットペッパー』などで執筆中。

兵庫の旅 ~鳴尾山芋研究所、立ち呑みたなか屋、ポンコツ

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昨日は歩きまわったからか、よーく眠れました。グッスリ!

お世話になったホテルグリーンさん、ありがとう。谷町九丁目の駅からほど近く、オープンしてまだ2年半にもならない、きれいなビジネスホテルでしたよ。

 

せっかく早起きしたので、歩いて難波駅まで行くことに。

旅に出て時間さえあれば、とにかく歩きます。

徒歩がいちばんたのしく、ものを見られる。

 

 

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そして早速こんなものを採集してしまう私がいます。

何をべんきょうするんだろう。

 

 

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「伯爵夫人」がどこにかかるのか分からず、思わず撮ってしまった一枚。

このへんから日本橋にかけてはラブホテルが多いですな。

 

昨日とはうって変わって曇天、雨が降りそうで降らない一日でした。

 

 

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なんだか雰囲気のよいお社(やしろ)を見つけたので、行ってみました。

 

 

 

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こういうのにばったり出合えるのが大阪の深さ。

歌舞伎好きとしてはうれしいサプライズでした。生國魂神社(いくくにたまじんじゃ)というお社の中にありましたよ。

 

 

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こちらが浄瑠璃神社

春分秋分の日が例祭で、文楽協会からの参加も勿論あるそうです。ここに祀られている方々がいなければ、現在の歌舞伎はなかったんだよなあ。

 

 

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途中で黒門市場をちょろっとのぞいてきました!

心浮き立ちますな。

 

 

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お、もうハモがいる!

「もういるで!」

威勢のいいにいちゃんに許可をもらって、撮らせてもらいました。

今回もデパ地下やらスーパーマーケット、かなり周りましたがハモの湯引き、すでに置いてあるところ多かったです。小切れにしてない一枚ものもあったけど、あれは寿司にでもするのかなあ。料理好きのおばちゃんを見つけて、立ち話したかった。

 

 

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なんとホヤがある!!

「こっちでもホヤ食べるのん?」

「食べない」

 

即答。(+_+;) まあそうだわな…。

 

「食べへんけど、ここは食べる地方のひとが来るところやからねー」

まさに私です。

赴任で来ている東北人が買って帰るよう。みな郷里の味が恋しいんだよな。

ハモと同じく、ホヤは東北の夏に欠かせないものなんですよ。

 

 

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ミックスジュース、やっぱり一度は飲んどこ。

朝に生ジュースを黒門市場で。うーん…ぜいたく。

 

 

さて、12時に友人と待ち合わせなのでした。そうそうゆっくりもしていられない。

 

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きょうは兵庫方面に向かいます。

 

 

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最近話題になった、近畿大学の英字表記変更の件。

kinki が「kinky」に聞こえて、ビックリされるようなんですね。

辞書で引いてみると「(性的に)異常な・変態の、心のゆがんだ」とあります。

近畿日本ツーリストなんていったいどんな会社になるのでしょう。

 

 

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阪神電車に乗ってやってきました鳴尾駅甲子園駅の1つ手前です。

 

 

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降りてさっそく見つけた日傘装着用「さすべえ」付きの自転車。

私はいま関西にいる……。

 

ここでも1軒、地元のスーパーを見てまわってから、目的地へ。

 

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このお店に来たかったんです、『鳴尾山芋研究所 FLAT BUSH』!

以前にテレビで知ってから、興味津々だったのです。山芋だけで料理を構成するお店。

 

 

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カウンターと、後ろにテーブルが12名分ぐらいあったかなあ…?

お昼は1500円コースのみ、料理は外国のかたがされていました。

 

 

結論からいって、料理は期待を裏切らないすばらしいものでした。

来て、よかった。

 

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山芋を使った前菜の数々。

山芋をすり入れたスペインオムレツ、ユズ香のエスプーマの下にマリネされた山芋、ナスと山芋のテリーヌ、つくね揚げ…などなど、長芋、自然薯、つくね芋などを使い分けつつ、飽きさせない前菜構成になっています。

 

コースや一食分の料理を構成できるほどに、山芋は奥深い素材だと思った」というようなことを代表の方がテレビで言っていらして、「そこまで言い切る彼の料理を一度体験してみたい…!」と思ったんですね。

 

その言いようが変にハッタリをかますような物言いでなく、静かに、謙虚に食材と対峙している感じが好もしくて。てらいのない気持ちって伝わるものですよね。

 

 

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そのかたが、こちらの八代進一さん。

名刺交換させていただきました。右手には山芋のタトゥ!

テレビで受けた印象と変わらない、控えめで優しいお人柄でしたよ。

もっともっと山芋に関してのこと、お聞きしたかったな。

 

 

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メインはとろろペーストのかかったサルサ風のサンドイッチ。

添えられたマッシュ山芋のフライも実においしかった。

 

 

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神戸育ちの友人は、とろろごはんをセレクト。

今回はこの友人エリさんにいろいろとお世話になりました。

ありがとうね、エリさん!

 

 

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デザートはイチゴ入りの薯蕷(じょうよ)寒天。

これまたおいしかったなあ。

器の趣味もよくて、目にもたのしいお店でした。ランチは1500円1種類という設定ながら、平日でも「お断り」が発生していて、にぎわっていましたよ。

 

 

さて、満足ランチのあとは三宮へ。八代さん、ごちそうさまでした!

 

 

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駅に向かう途中で見つけた店。

私はいま関西にいる……!

アポストロフィの使い方がたまりません。

 

 

 

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さて、神戸に移動してきました。

地元への愛が街のそこかしこからあふれています。

 

 

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大好きなパティスリー、『モンプリュ』へ。

ここで実家へのおみやげを送りました。ここのチーズケーキ、好きなんですよー。東京の友人用にキャンディもいくつか購入。カフェは地元の方々でにぎわっていました。素敵なお店だったな。今度はゆっくりお茶をしたい。

 

 

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神戸って感じですねえ。

 

 

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大丸に入ったら、こんな表示が!

 

 

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「だってホントに山と海に挟まれてるとこなんですもの」とエリさん。

どこでもこんなふうに表示してあるわけじゃないけど「この言い方、神戸のひとだったらみんな分かると思う」とのこと。おもしろいものですね。

 

 

 

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三宮駅直結、ターミナルホテルの1階にある『PUBGAB』では地元ウィスキーのハイボールが飲めました。なかなか味わいしっかり、おいしいハイボールでした。

ここで、しばしおしゃべり。使い勝手のよさそうなお店だったな。

 

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ハッピーアワー、生ビールと小皿おつまみが付いて500円のセット。

うーん、いいセットだなあ。この日のつまみは、生ハムとキャベツのピクルス。店員さんもとても親しみやすいかたばかりで、ラッキーでした。

 

エリさんとはここでお別れ。

いろいろ案内してくださり、感謝です。

エリさんは生粋の神戸っ子、地元のかたに案内してもらうのは最高の贅沢ですな。

 

f:id:hakuoatsushi:20160504100859j:plainちなみに、エリさんが教えてくれた地元のお菓子、

甲陽園のお菓子工房 ケーキハウス ツマガリ』の詰め合わせ。とてもおいしかったですよ。別におみやげで買い足してしまったほど。また取り寄せてみたい。

 

 

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さて、JRに乗って三ノ宮から明石へやってきました!

明石まで新快速に乗れば21分なのですね。早いなあ。明石は鶴橋とならんで、私の今回の旅のメインテーマでした。

 

 

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明石の商店街。

「何をアピールしたいか」がこれほどまでに直球で分かると嬉しくなります。

 

 

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本当にあちこちにタコが。昔、たこ八郎っていたなあ。

 

 

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さて、こちらが目的地!

酒屋さんが営む『立ち呑み たなか屋』、以前に雑誌で見た光景があまりにも魅力的で、「死ぬ前に必ず行きたい…!」とずーーーーっと思っていたお店でした。

 

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しかし17時の開店14分後に行ったにもかかわらず、満席!!!!

近所をうろうろすること1時間20分、ようやく入れました。(*´ω`;)

上の写真は、お店の様子。地元の酒『仙介』や『爽楽』もたくさん。

 

 

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カウンターにはずらりと並ぶ大皿!

これこれ、この光景をかつて見たのです。そして写ってませんが、周囲は笑顔の酒好きでもうギッチギチなのですよ。背伸びして撮りました(笑)

普段は和食メインなのですが、うかがった日は特別イベントでイタリアンメニューオンリー。普段を知れないのはちょっと残念でしたが、もう何食べても好みの味わいで結果オーライ! たのしかったなあ。思い切って、来てよかった。

 

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店員さん、本当にいそがしそうだった。

 

 

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メニューはこんな感じ。

 

 

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まずはロゼのスパークリングをオーダー。

 

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最初に甘エビのひと口ガスパチョを。

いいスターターでした。ガスパチョの季節になってきましたねえ。

 

 

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甘エビとオレンジのサラダ。

エビ好きには至福の連続攻撃。厚みと弾力のしっかりある甘エビ、久しぶり。1時間以上待った甲斐があったというもの…(´;ω;`)ウッ…

 

 

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2杯目、白ワインの上のほうをオーダー。

ゆっくりを心がけて飲みました。まだまだ夜は長いのだッ!

 

 

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ハリイカとタコのカルパッチョ

明石でタコで立ち呑みでワイン…うれしいなあ…。ハリイカコウイカの別名、肉厚だけど食べよく仕上げられていて、満足。下のグリーンも力があっておいしいのですよ。

 

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やっぱり兵庫の日本酒も飲みたいなーと思い、7番の『仙介』をオーダー。

 

 

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この『仙介』、東京は大塚の『地酒屋 こだま』で知って惚れたお酒なんです。

それを地元であらためて味わう。地元で獲れた魚と共に。

 しばし、ぼんやりと時間を味わいました。

 

 

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アナゴと鯛の子、山菜のフリット

こちらをつまみつつ、お隣のグループさんとお話(というか聞き込み)して、周辺のお店のことをいろいろうかがいました。たなか屋さんで飲み尽くすのもいいけど、やっぱりちょっと周りたい。

いろいろ教えてくださった司書関係の美女軍団のみなさま、ありがとうございました!

 

お会計、このほかイワシのベッカフィーコ、国産白ワインも1杯飲んで計5800円。隣のおばちゃんから「ここでひとりで5千円行くなんて(怖い子…)!」みたいな目をされてしまいました。(^▽^;) 

 

 

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 さて、教えてもらったうちの1軒、立ち飲み『ポンコツ』さんへ。

この外見! 知らなかったら絶対入らないなあ。というか看板もないですね。

 

 

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入るとごくフツーの立ち飲み屋さんなんですけどね。

ご夫婦でやられていて、とても気さくに話してくださいました。うれしかった。

 

 

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2軒目の定番、レモンサワーを。

そしてつまみは……

 

 

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やっぱり、タコ!

この「手長タコの炊いたの」、うまかったな。にし貝の煮つけも惹かれたが、断念。食べ過ぎて明日腹具合悪くしたら、元も子もない。ひとり旅とは何かを諦め、絞ることなり。

 

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そして「ポンコツに行ったらこれを絶対!」とおすすめされた『穴しん』、うまいぞおっ! 焼きアナゴとタクアン、大葉を和えたものですが、なんともいいトリオでした。これ、真似してみよう。

 

 

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この「清原ハイ」ってなんだろう?

 

ご主人「ヤクルトで割るの。略してヤク酎や!」

すばらしい……o(TヘT o) 旅の疲れが吹っ飛びました。

笑って、隣の人とちょっと喋ったりして、辞去。

ごちそうさまでした!

 

さて、ここで私ヘマをしてしまいます。なんと下に置いたダウンベスト、忘れてしまった。( ;∀;) こちらのお店、電話非公表のようなんです。手紙書いてみよう。まだあるかなあ。

 

 

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この日の夜は姫路のドーミーインに泊まりました。

「寝たら赤穂行っちゃうから気をつけてね」と先の友人、エリさん。

 

 

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無事に着いた姫路の駅、降りたら名産『揖保乃糸』のネオン塔が。

このあとの2軒ほど寄ったのですが、それはまた別の機会に。

姫路の人とも酒場交流できて、よかった。

 

さて、明日は姫路・鶴橋再訪編です。