白央篤司の独酌ときどき自炊日記Ⅱ

フードライター。郷土の食、栄養、暮らしと食をテーマに執筆しています。連絡先→hakuoatushi416@gmail.com 著書に『自炊力』『にっぽんのおにぎり』(理論社)、『ジャパめし。』(集英社)など。メシ通『栄養と料理』『ホットペッパー』などで執筆中。

小学4年生105人と『にっぽんのおにぎり』の話をしてきました。

 

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所沢の小学校で『にっぽんのおにぎり』の講演をする機会に恵まれました。

 

小学4年生105人との対話、こちらも大きな刺激に!

強い好奇心、そして思考力の深さに、驚かされました。

 

まず好きなおにぎりの具を訊くと、手があがるあがる。

それらを板書して、グループ分けに。

 

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「このグループはなんだと思う?」

しばらくして、元気に「海のもの!」と答えが。

 

シャケはこのあたりの名産で、全国の○割ぐらいが獲れて、そしてこれはどこでよく獲れるもので…と日本地図を書いて、ひとつずつ説明します。

 

次は、それらのものが醤油で煮てあったり、塩漬けされたものだったり、天日干しされたものだったりすることに言及。

「どうしてこういうことをしたんだと思う?」

明太子が好きと答えた子には、

「福岡の名産がどうして所沢でも食べられるんだろう?」

いろんな質疑応答を重ねて、それぞれのおにぎりの話を進めます。

 

 

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※ここ50年ぐらいの間の輸送発達をうまく説明できない自分を反省しつつ…。

 

海の具を考えたあとは、「山で採れるおにぎりの具ってどんなものがあるかな?」とたずねると、即レスで「木の実」「山菜」と。いやー…すごいなあ。自分が小4のときにこんなに答えられたかな。

 

栗ごはんのおにぎりが好き、と答えた子がいました。

「栗やイモ、豆類を炊き込んだ郷土のごはんもあるよ。昔の人は、どうしてこういうことをしたんだろう?」という質問を投げかけてみました。

ちょっと時間が空いたけど、しばし待ってみたら、ひとりの男の子が挙手。

 

「お米があまりとれなかったから、その量を増やすため?」

ここから、米のかさ増しについて日本人がどういう工夫をしてきたかの話に。

「秋の収穫を1年、食い延ばす」

日本人がずっと抱えてきた命題まで話せて、よかったな。しかし子どもたちの理解力と吸収力、すごいですね。最初はこの本で考えたこと、思ったことのどこまでを話せるかちょっと不安でしたが、予想以上にたっぷりと話すことができました。

 

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地方によって食べられるもの、なじみのあるものは様々に変わります。

所変われば、食変わる。

「知らない食べものや食べかたが、この世にはたくさん存在する」

このことを知ることは、他文化を尊重する気持ちの萌芽にもつながると、私は信じています。そのきっかけに、なってくれることを祈りつつ。

 

反省点はいっぱいですが、貴重な経験をしました。

最後に子どもが駆け寄って握手を求めてくれたのは嬉しい思い出です。

今月末と来月にもおにぎりイベントをやります。

今年も少しずつ、がんばっていきますね。

 

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 貴重な機会をくださいました清進小学校のみなさまに、心より感謝いたします。