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白央篤司の独酌ときどき自炊日記Ⅱ

郷土の食、健康と食をテーマに書いています。連絡先→hakuoatushi416@gmail.com 著書に『にっぽんのおにぎり』『にっぽんのおやつ』(理論社)、『ジャパめし。』(集英社)。2016年10月に『にっぽんのおかず』が発売になりました。3部作完結!

早稲田で「京マチ子展」、そして20年ぶりに『麻の葉』と『cafe GOTO』へ

まちの名物 和の店 ケーキやらアイスやら 早稲田

この日はデザイナーさんと打ち合わせで、新宿区山吹町へ。

初めてうかがうところでしたが、早稲田の大隈講堂から、10分もかからないよう。

 おりしも最高気温は21度、天気に恵まれた晩秋の正午。

そうそう、早大内にある演劇博物館で「京マチ子展」をやっているんだった。

行きたいお店もあるし、早めに行って早稲田散歩をしよう。

 

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久々に大隈講堂を見たなあ。

私はこの学校に通ったんですが、ここで身体検査とかしたのを覚えてます。

 

 

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 大学内にある演劇博物館、通称「エンパク」。

学生時代は昔の歌舞伎や日舞の雑誌読みたさに、よーく通ってました。

1928年坪内逍遥の古希を祝って建てられたもので、

16世紀イギリスの劇場を模した建築様式なのだそう。

 

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これが観たかったのでした。

感想としては、うーむ。

展示スペースはごく小さく、正直「えっ、こんだけ?」という規模。

もう少し彼女の肉声が伝わるような展示物を発掘・採集できなかったかなあ…というのが正直な感想です。いまでもご健在なのですしね。と、まあ…入場無料であれこれ文句言っちゃいけないな。自分がファンなものだから、どうにも欲目が。

 

これはとある編集さんから聞いたことですが、京マチ子さんは自分の過去を振り返るようなことが大嫌いなのだそう。「昔の出演作のお話を…」なんてテーマのインタビューなどほぼ絶対に引き受けてくれず、「とある大出版社の上層部に中にはいってもらってもダメだった」のだとか。そんな彼女が今回の展示では、2つの勲章や楽屋のれんなどを提供したのですから、関係者は尽力されたのでしょうね。

本当におつかれさまでした。今後も日本映画人の展示、期待しております。

 

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入り口脇には、京マチ子さんと写真を撮れるパネルがあったり。

 

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ちょうど係員さんがいらしたので撮っていただいた。ちょっとうれしい。

 

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そとへ出ると坪内逍遥翁の胸像が。講義中の模様だそうですよ。

さて、そろそろお昼でもいただこう。

 

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なつかしい。

よく残っていてくれたなあ。

 

学生時分、ここのランチを食べるのがすごく楽しみだった『お菜処 麻の葉』。

西早稲田2丁目、穴八幡様のすぐそばにあります。

 

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この麻の葉弁当が目当て! もりだくさんで嬉しい内容なんですよ。

20歳そこらのときはもう夢のようなごちそうでした。

 

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今でもじゅうぶん豪華です。

厚く切られたカツオのたたき(荒おろしのショウガがまたいい)、イカの和えもの、甘く炊かれたおから、菜花のナムル、梅コンニャク、ワカメサラダ、カボチャの炊いたの、油通ししたナス、鶏団子、焼き鮭、かまぼこ、半熟卵。これに香の物とごはん、お汁がついて900円! 構成も値段も昔とほぼ変わっていないよう。

 

相変わらず、おいしかったな。

今の自分には正直ちょっと塩気が強く感じられるものもあったけど、それは私が変わったんだよな。店内も嘘みたいに変わっておらず、私が20年ぶりに来たんじゃなくて、20年前のある一日にちょっとだけ戻ってこられたかのような気持ちになった。

 

お勘定をすませるとき、やっぱりひとこと告げたくて、料理を作っているご主人らしきかたに声を掛けた。そうそう、こんな風貌のかただった。

このかたも髪に白いものが増えたぐらいで、ほぼお変わりにならない。

 

「お店はもうどのくらいなのでしょうか」

「ここに来てからは…27年ぐらいになるでしょうか」

 

「20年ぐらい前に早稲田の学生でした。相変わらず、おいしかったです」

「ああ……それは覚えていなくて、ごめんなさい。ありがとうございます。そうですか。料理をしていて、よかったです」

 

 ちょっと鼻の奥がツンとして、涙が出そうかもな、と思った。次の言葉が出てこなくなったので、礼をして店を出た。

 ごちそうさまでした。

 

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ついでだから、なんて言っちゃバチがあたるな。穴八幡様へお参りを。

紅葉はまだだけど、裏手の南天の葉が実と同様にぎゅっと赤くなっていた。

 

さて、デザイナーさんのところへ向かおう。

早大通りをまっすぐに。

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早大通りってやたらオブジェがある。可愛いかどうかはまた微妙な。

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うーむ。

 

今度出る本の表紙の打ち合わせ。

無事に終了、ボスのNさんのアイディア、ものすごく楽しみだ!

わくわくしてきた。いや、その前に内容をがんばらなければ。

 

さて、もう一軒どうしても寄りたい店が。

学生時代によーく行ってた喫茶店、『cafe GOTO』(カフェゴトー)。

ここのご主人がつくる素朴でクラシックなケーキ、とてもおいしいんだ。

 

目当ては、タルトタタン

そんなシャレた名前を知ったのは、この店でだったんじゃないかなあ。

 

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ああ、残っていた。

うれしかった。

なんとラストワン、思わず天に感謝。

陸前高田のりんごがたっぷりと使われて、いい塩梅に酸味が残っている。たっぷりと添えられたホイップにつけてたべると……ああ、サティスファクション。

 きょう元気で、よかった。

 

 こちらもご主人に「相変わらず、うまかったです!」と挨拶。

「ええー、よく来てくれてたの? そう、ありがとう。最近20年ぶりって人、よーく来てくれるんだよー」

 変わらず気さくなご主人。この人も頭に白いものが増えた。

 私はあと20年経ったときに、今の自分をなつかしんでくれるような人が現れるだろうか。ふと思った。このままじゃ、誰も現れてくれないだろう。もっと、良い仕事を残していかなくては。

 GOTOは大学生たちでいっぱいだった。そして先生とおぼしき人も、ちらほら。

 ずっと愛されてるなあ。嬉しくなった。

 

  

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リーガロイヤルのクリスマスリース