白央篤司の独酌ときどき自炊日記Ⅱ

フードライター。郷土の食、栄養、暮らしと食をテーマに執筆しています。連絡先→hakuoatushi416@gmail.com 著書に『自炊力』『にっぽんのおにぎり』(理論社)、『ジャパめし。』(集英社)など。メシ通『栄養と料理』『ホットペッパー』などで執筆中。

花の名前

 

 この週末、目黒川の桜並木はすごい人出でした。

 

 土曜日は本当に花見日和、日曜は昼すぎから曇って雨に。

 

 土曜の午後、友人と缶ビールを買って、そぞろ歩きを楽しみましたよ。

 

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 昔の話。

 ちいさい頃の散歩中、私の親は花を見つけるたび、

「この花はなあに?」と私に訊いてきました。
「知らない」と答えると、

「これはさくら」

「これはつつじ」
 などと教えてくれました。

 

 別の日に、また同じ花を見つけると
「この花はなに?」
「知らない」
「これはね」
 そうこうするうち、花の名前を覚えていきました。
 最初から「これはさくら」「これはルピナス」とは、言わなかった父と母。
 私はあのとき、花の名前ではなく
「知らない」ということを覚えたんだと思っています。