白央篤司の独酌ときどき自炊日記Ⅱ

フードライター。郷土の食、栄養、暮らしと食をテーマに執筆しています。連絡先→hakuoatushi416@gmail.com 著書に『自炊力』『にっぽんのおにぎり』(理論社)、『ジャパめし。』(集英社)など。メシ通『栄養と料理』『ホットペッパー』などで執筆中。

韓国料理の日々、そして映画『パラサイト 半地下の家族』からのチャパグリ

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最近、気がつけば韓国料理をよく作っています。もともと好きなのもありますし、近所に『サラン』という韓国食材店があって、そこのオモニお手製のキムチがね……実にうまいんですよ。何度も通ってるうち気さくに話してくれるようになって、料理に関してもあれこれ教えてくれるようになりました。

 

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韓国の海苔巻き、キムパ。

「キムパが余ってごはんが固くなったらね、溶き卵にくぐらせて焼くとおいしいんだよ」 と、先のオモニ。何それ、うまそう!

 

どーにも試してみたくなり、キムパを買ってひと晩置いてやってみたところ……ごはんが柔らかくなって、作りたてとはまた違う一体感が生まれて、いいもんですねえ。ごちそう感もアップ。キムパのピカタですな。韓国では溶き卵つけて焼く料理を「ジョン」と呼びますが、キムパのジョンなわけだ。

 

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 ユッケジャンの基本的な作り方も、先のオモニに教わりました。

前にも作ったことはあるんですが、その上でコツを詳しいひとに聞くのってやっぱりいいですね。ツボがよく分かる。和牛の切り落とし肉が手ごろなときによくやります。そんないいものじゃなくていいけど、和牛のほうがコクが出る。

欠かせないのが豆もやしにゼンマイ、そして私はゴボウを加えるのがけっこう好きでね。余ってたキノコ類もこの日は加えてます。最後にセリなんか散らすのもおいしい。

 

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 冬場に活躍のチゲ。

具はなんでもいいのですが、この日は長ネギに白菜、厚揚げにすり身団子。ちくわぶが結構合うんですよー。青菜は春菊がおすすめ。先の『サラン』には「チゲのもと」なるペーストも売らてて、それを使うとラクなんだ。韓国唐辛子といわしエキス(多分、魚醤)、ニンニク、玉ねぎの粗いペーストのよう。

 

私はいりこだしに「チゲのもと」を溶いて、コチュジャンとキムチの汁、ごま油でチゲの基本スープにしています。

  

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 ナスのナムル。

 

昨夜の家飲み中、手なぐさみに作りました。縦半分に切って大きく格子に切り目を入れ、ごま油で両面焼いたら酒ふって軽く蒸し焼きに。熱いうちに、醤油、少量のニンニクみじん切り、ネギのみじん切り、お酢ちょい、韓国の粗挽き唐辛子、すりゴマ、砂糖少々で和えます。醤油は薄口と濃口を2:1で。 

 

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姜連淑さんの 『オモニの味 韓国の野菜料理』(家の光協会)、長いことお世話になっているレシピ集です。ナムルってかくもいろいろあるものか、と買った当初驚いたなあ。やさしい味わいのものが多くあることも発見で。

 

 

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そうそう、先日ポン・ジュノ監督の『パラサイト 半地下の家族』という映画を観てきました。なんともね……後を引く映画でしたよ。翌日も朝からあれこれ映画の細部について考えてしまって。カンヌ映画祭パルムドール受賞作、韓国映画としては初なんですね。

 それはともかく、作品内に登場する「チャパグリ」なる料理が妙においしそうで印象的でした。

 

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2種類のインスタントラーメンを一緒に作るアイディア料理なんですが、ツイッターにチャパグリのことをつぶやいたら、韓国通の友人が早速持ってきてくれたんですよ。Kさん、ありがとう!

 

右がジャージャー麺風の「チャパゲティ」、左が辛めの海鮮うどん「ノグリ」、2つを足すから「チャパグリ」なんですね。試してみたら、想像どおりのジャンクうま。「ノグリ」がけっこう辛いんだこれが、慣れてる人は粉末ソースの量を調整して食べるらしいです。向こうでは「デリバリーで食べるもの」という人も。

 


第72回カンヌ国際映画祭で最高賞!『パラサイト 半地下の家族』予告編

 

映画では食事や飲み物が効果的に使われていました。食は一切メインテーマではないんですが、構成が巧みでテンポがものすごく良くて。社会格差が描かれ、風刺や皮肉もたっぷりなんですが、私は「コメディ」として心に残りました。もう一度観たいです。

「閉じ込められる人」「閉じこもる人」を描くフランソワ・オゾン監督はこの作品を一体どう観たか、ものすごく気になる。

 

 

さて、1月も後半だ。

早いですなあ……。