白央篤司の独酌ときどき自炊日記Ⅱ

フードライター。郷土の食、栄養、暮らしと食をテーマに執筆しています。連絡先→hakuoatushi416@gmail.com 著書に『自炊力』『にっぽんのおにぎり』(理論社)、『ジャパめし。』(集英社)など。メシ通『栄養と料理』『ホットペッパー』などで執筆中。

小伝馬町『馥や』で鴨鍋忘年会

 

この時期よーく言われることですが、何度年忘れしたら気がすむんでしょうね(笑)。

しかし、『馥や』(ふくや)さんのフェイスブックで「鴨鍋はじめました」の文字をみたら「い、行きますッ!」と連絡せずにはおれませんでした。好きなお店なのですよ。

こちらはお蕎麦屋さんで、鴨鍋は寒い時期のスペシャリテ。食関係のライターさん3人に声がけして、いざ小伝馬町へ!

 

馥やさんのつまみ盛りはすごい

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さて、馥やさんに行ったらぜひ頼んでほしいのが、つまみ盛り合わせ(2000円~)。これで一人前、酒好きならたまらない、夢のルックスじゃないでしょうか。毎度出されるたびに「ワーッ!」と歓声が上がります。

この日はひたし豆にわさび漬け、クリームチーズの金山寺味噌漬け、菜花の昆布じめ、酢ダコにシメ鯖に根室のウニ…ああ、思い出してもうっとりでゴンス。

 

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盛り合わせより、ズワイガニのカニ味噌和え。あっはははははーカニ好きなんですよー。思わず嬉しくて笑っちゃいました。さっきからもう、目尻下がりっぱなし。

 

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これ、素晴らしかったな。わら焼き寒ブリのヅケ。ご主人・ネモトさんのセンスが光ります。ぴっかぴか。うまかった…三切れという量も厚さもこの時期のブリの味わいにちょうどいい。

 

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私の大好物、馥やさんの蕎麦みそ。「これだけで2合は絶対いける!」と友人にも大好評でした。カリカリと蕎麦の実がたっぷり、鴨ひき肉も入っています。単品でもありますよ。

 

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日本酒はこの2つをじっくりと。

東京・東村山市で造られる『十右衛門』と、長野・上伊那郡の酒『今錦』です。どちらも美酒! 普段はボトルは出されず片口だけのところを、お願いして見せていただきました。

 先のおつまみで永遠にチビチビとやれそうですが、そろそろ鍋にいきましょう。

 

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どうです、このボリューム! 鴨に鴨つくね、キノコに白菜にゴボウ、そしてセリがたっぷり。

 

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4人でうかがい、「けっこう量が多いので、3人前でいいと思います」と言われたのですが、それでもタップリでした。二人前でもよかったかも。食べても食べてもなくならず、ぜいたくな内容でしたよ。

 

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 真ん中の細いの、なんだかわかります? セリの根っこです。セリはここがうまい。根を入れると香りが段違い、きりたんぽ鍋でも本来は必須のものです。

 

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最後はこんなふうに玉子とじにしていただき…

 

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蕎麦でシメます。いやはや…満足!

忘年というより、ひと足先に舌のお正月でした。

ごちそうさまでした。来年もがんばろう。

 

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見送りに出てくださった、ご主人のネモトさん。『馥や』という屋号はおばあさまのお名前なんだそうです。フクヤさん。この「馥」という字、得も言われぬよい香りを示す「馥郁」という言葉の、あの字です。

 

初めて来た日のブログ

こちら、初めて来たのはいつだったろう…と思って検索したら、2014年の8月でした。その頃はちょうどオープンされて一カ月、奇しくも、私の最初の本『にっぽんのおにぎり』の第1回目の打ち合わせを終えた日(近くに版元の出版社があるのです)。

縁を感じて、以来折々でお世話になっています。『にっぽんのおかず』の壮行会もこちらでしていただいたなあ。

 

ネモトさん、来年もどうぞよろしく!